聖火と平和 ~五輪哲学なきオリンピックスタジアム~

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  Sport Philosophy 

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聖火と平和
 ~五輪哲学なきオリンピックスタジアム~


 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技
場内に、聖火台を置く場所がないことが明らかになった。事業主体
の日本スポーツ振興センター(JSC)は競技場外に置く案を示し
たが、大会組織委員会は反発。3日夜、遠藤利明五輪担当相を座長
とする検討チームを発足させ、大型連休前をめどに設置場所や設置
主体、費用負担の案を出すことになった。(2016年3月4日朝日新聞)

 またしても国立競技場問題である。2020年の五輪主会場とな
る国立競技場は「オリンピックスタジアム」である。聖火台のない
オリンピックスタジアムは、オリンピックの哲学からは存在しない。

 なぜか。

 オリンピックが平和の祭典と呼ばれるには、それなりの根拠があ
る。古代ギリシアにおいて、都市国家どうしの間断なき争いを四年
に一度は止めて、スポーツの祭典に捧げた。その休戦の思想を近代
になって復古したクーベルタン男爵の哲学は、スポーツにより鍛え
抜かれた若人の集う世界が、平和を象徴することを目論んでいた。

 健全な精神は健全な肉体に宿る。

 「聖火」はその象徴である。オリンピアで古式に基づき聖なる太陽
から採られた火が世界をめぐり、五輪開催都市に届く、その最後
の走者が「聖なる火」を灯すのが、聖火台である。それは、開会式
の会場であるオリンピックスタジアムにあるべきものだ。

 五輪憲章に聖火台がオリンピックスタジアムになければならない
という規定はないが、オリンピックの哲学がそう主張している。
IOCが開閉会式について記述している資料によれば、「最終走者
は競技場を一周回り、聖火台に火を灯す。その火は閉会式まで消え
ることはない」としている。オリンピックスタジアムを一周して、
外にある聖火台に点火するなんてありえない話で、聖火台は五輪開
閉会式場に「付き物」である。
 かつてオリンピック休戦を告げて走り回った飛脚は、武器をすて
てオリンピックに来ることを叫んだのである。

 その姿を象徴するのが、聖火リレーであり、オリンピックスタジ
アムを一周して、聖火を灯す最終ランナーなのである。
 この聖火リレーと聖火が不可分の存在になるのが、1936年の
ベルリン五輪、ヒトラーの五輪であったことは皮肉だが。

 かような前提の前提である「聖火台」が新国立競技場の設計図に
なかった。それもザハ・ハディド氏の国立競技場原案にもなかった
となれば、それを精査する側に知見のなさに驚愕すら覚える。

 エンブレム問題、国立競技場問題と問題が起こるたびに、組織の
中心にスポーツアドミニストレーションの専門家がいないことがご
く基本的な問題であることを主張しているが、基本的にはオリンピ
ック精神への敬意のなさ、謙虚さが足りないのが根本的原因である。

 東京五輪組織委員会会長から役員まで、真剣に五輪のことを考え
謙虚に五輪を迎えようという気がない。自分は五輪を全て知ってい
ると秘書や事務局が用意した資料を読むだけなのに思い込んでいる。
それが欠陥だらけでも読むしかない。そして問題が起きれば周囲に
怒りをぶちまける。

 頭を何度丸めても丸めきれない組織であると言わざるを得ない。

 いつだったか組織委員会に専門機関から出向している人間に、「
オリンピズムのために喧嘩しなければだめだ。俺ならしているぞ」
と言ったら、「負ける喧嘩はしない」との回答。こういう輩は、
一生喧嘩ができない。喧嘩とは自らの志を持って事に当たることで
あり、「結果」を想定した時点で喧嘩ではなくなるのだ。

 負けたくないのは誰も一緒。しかし男は戦わなければならない時
があるはずだ。ここまでオリンピックをないがしろにした組織運営
がまかり通っている現状、実際、上と戦えるものがいなければ、
どうにもならないところまで来ている。

 聖火は平和を求める。

 しかるに聖火台なきオリンピックスタジアムのためには喧嘩をし
なければならない。

 誰と?

 それは既に答えがでているではないか!
                         (敬称略)

2016年3月6日  

                       明日香 羊        
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編集好奇
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前号が昨年10月18日に発行。
鈴木スポーツ庁長官の発言に見た「たそがれ」は聖火の残り火
だったようです。

これまでも様々な問題が起こりました。
バスケットボール協会の資格停止とタクスフォース。
五輪追加種目論争。
岸記念体育館移転に伴う体協とJOCの資産問題。
などなど
その渦中に飛び込まざるを得ない状況で、
スポーツ思考停止状態が続きました。

でも聖火台問題は語らざるを得ない。

 皆様のスポーツ思考を期待します。
                       春日良一

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  考?ご期待
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