東京五輪2020の失敗 〜オリンピックが日本から消えた日〜

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東京五輪2020の失敗
〜オリンピックが日本から消えた日〜

約90日に迫った北京冬季オリンピックの話題が些少である。それよりも大谷翔平のメジャーリーグMVPなるか?日本プロ野球のクライマックスシリーズは?の方が関心を引いているからだろうか?私には日本人がオリンピックを見る目が変わってしまったことが大きいと思える。

2020年の東京五輪は、1964年の東京五輪が築いた日本人のスポーツ思考を破綻させた。

私が開催を主張し続けたのは、本書でも一貫して語っている「オリンピックは参加することに意義がある」前提として、「オリンピックは開催することに意義がある」からだ。それによって絶対的な基軸のない世界の諸問題が浮き彫りにされるからである。

その意味で東京五輪2020の開催には大いなる歴史的意義があった。日本の社会の歪みがこれほど明瞭化したことがあっただろうか?五輪開催を反対した人々が五輪なき世界の指標を示すことができただろうか?ジェンダーイコーリティ、地球環境問題、バリアフリー、ワーキングスタイルなど如何に日本社会が世界の先導的動向について行けていないかが明らかになった。

北京冬季五輪2021-11-11 12

五輪は平和がキーワード

広島の平和への志向も核兵器廃絶への効力を発揮できず、日本国が誇るべき憲法第9条も世界に向けて堂々と発信できなかったのは、五輪を開催する意思にそれが反映されていなかったからだ。

私の思い描いていた東京2020の開催は、世界平和を日本国民だけでなく、世界の人々とともに共有する瞬間であった。東京、そして日本が世界に発信できるものは、そのことしかないと思った。

1964年の東京五輪は日本国民に世界平和への信仰とスポーツへの愛の萌芽となった。その意義は大きかったはずだ。しかし、2020年の東京五輪は、コロナという大命題に対して深淵を持った解を持つことができずに終わった。コロナが来なくてもリモートによる働き方改革も促進すべきだったが、コロナがあっても画期的なものにはならなかった。

今、感染が急減しているというので、早速、飲みに繰り出し、ツバキを飛ばして話に興ずる人々が急増し、何の反省もない現状が繰り広げられている。コロナは人間の生き方、生命に対して、「お前らはこれまでの生き方でいいのか?」と問うていたはずだ。経済優先社会が引き起こした地球破壊への現実に向き合えと言っていたはずだ。反省すらない日本社会が五輪開催を諦めていたら、もっとどうしようもない世界になっていただろう。開催したおかげで、世界からはかろうじて認められているのだ。

五輪開催とともに五輪反対の世論は収まり、選手が生み出す感動によって、人々のスポーツへの思いが復元し、オリンピックへの肯定的感情が増幅した。反対論者の掌返しも見事だった?!

しかし、それはオリンピックが果たすべき世界平和への実現への布石としては、物足りない。その責任の全ては観客を入れる決心をできなかったリーダーたちにある。それまでスポーツ運営者たちが観客を入れてもコロナ感染を抑制できる実験を繰り返し、データを集めた努力に対して、都知事も首相も報いなかった。万一観客を入れて、感染拡大が進んだとしたら、その責任を誰がとるのか?都知事も、首相もそこまで五輪を信じてはいなかった。責任を取ることなく「無事に」東京2020が終わってくれれば良かったというのが本音だっただろう。

論より証拠は、先の衆議院選挙では東京五輪のことが一切語られなかった。開催反対した野党も含めてである。その深層についてはいずれ書く機会もあるだろう。

その結果、五輪は日本人にとって「やって良かった!」というより「やっても良かった」というレベルに落ち着いてしまった。「東京五輪は私の責任において開催します。ですから都民(あるいは国民)」と都知事が、(あるいは首相が)頭を下げていたら、違う風景が見えてきただろう。以上が、北京冬季オリンピックに日本人の心が動かない背景であると見る。

さらに東京五輪が無観客で行われたことで、北京五輪のハードルが低いものになったことに日本政府は気付いていない。今、北京は外国人観客受け入れは諦めたが、地元の人々での観戦は視野においている。先日、サマランチIOC北京五輪調整委員長は、「すでに数週間前にチケット販売計画はできているが、実際にはコロナの状況を見ながら決める」と慎重だが、北京にとって観客を入れて大会を成功させたとなれば、東京にできなかったことを実現したことになる。

コロナによって日中の指導者の優劣が白日の下に晒される。思えば、COVID-19は武漢からの使者だった。誠に皮肉な展開である。

(敬称略)

2021年11月11日

明日香 羊

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編集好奇
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昨日発売の文藝春秋十二月号の同級生交歓というグラビア?に
北村晴男弁護士とツーショットで出ています。
見てみてください。

これから日々、スポーツ思考を綴ることにしました。
村上春樹の「僕は小説を書く方法の多くを、道路を毎朝走ること
から学んできた」というエッセイが刺激しました。
僕は世を生きる方法をオリンピックを毎朝考えることで学んで
行こうと思いました。

時事通信社が発行したオリンピック・パラリンピック写真集に
私のコメントが載っています。探してみてください。
名前なしです。ヒントは評論家(笑)

春日良一

【Forbes Japan】
いま改めて考える「聖火リレー」の意味と歴史
https://forbesjapan.com/articles/detail/39557

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考?ご期待
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次号はvol.442です。

スポーツ思考
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日刊ゲンダイ連載!
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/

NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
https://genkina-atelier.com/gorin/

哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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