憂国のオリンピズム 〜どうしようもない政治家を置いていこう〜

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週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.457
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憂国のオリンピズム
〜どうしようもない政治家を置いていこう〜

昨年の今頃は、東京五輪が開催できるのかどうかで騒いでいた。コロナ感染者の数が増えれば増えるほど、東京五輪開催反対の空気がこの日本を覆い、中止と延期が正論に聞こえた。するとそれまでスポーツ振興に好意的であった政党も挙って、五輪開催反対論を醸成した。その中で五輪開催の意義を訴える私は何を支えにしていたか?

今だから言えるが、それは主役である選手のためであった。彼らは四年に一度の場に自らの命を懸けて鍛錬を続け、競技を続けてきた。その場を失わせるということがどれだけ酷いことか。しかし、こう主張すれば、選手の命を特別扱いするな!とか五輪は特別なのか!という論理展開になり、選手批判へと世論が靡く危険があった。実際、著名選手にオリンピックに出ないでくれという声が投げられた。難病を奇跡的に克服して出場に漕ぎ着けた池江璃花子選手にも直球が届いた。もし本気で命が大事というならば、選手の命も大事にすべきである。一人一人の命が大切ならば、選手の命も奪えないはずだ。

もし社会がその人のためにできることの全てを捧げるのならば、そこに本当の命が生まれる。ともに歩む命が。それが日本の社会が生まれ変わる動力となる。私の闘いは続いたが、声なき声が届いたのか、東京五輪は開催された。しかし、果たしてコロナ禍の東京五輪は何だったのか?

未知のウィルスのパンデミックへの不安と恐怖に慄くのは分かる。しかし、誰かのためにその恐怖を乗り越える努力の尊さが見失われていた。そのことが理解できたのは、実際に曲がりなりにも東京五輪が開催されて、そこに出場した選手たちが見事なパフォーマンスを示して、その中に参加できたことの、五輪開催を許してくれた人々への感謝を心から表したことである。それによって世間と選手が和解した瞬間が訪れたと思えた。

柔道の大野将平が五輪二連覇を果たした直後のインタビューで、そこに立たせてもらった感謝を述べた時に、私自身胸の支えがスーッと取れた気がしたものだ。

大野翔平

冷静に振り返れば、昨年の今日、2021年4月20日は東京都の感染者数は711人。当時は、一週間前から201人増えたと深刻であった。一方で昨日の感染者数は5583人である。プロ野球もJリーグも入場制限を設けずに開催している。この空気の違いは一体誰が醸成するのだろうか?

東京五輪を十全と開催するために共に協力する世界ができていれば、プーチンのウクライナ侵攻もなかったかもしれない。(この飛躍的論理展開には詳述が必要だが、次回以降に譲る)観客を入れてできる五輪にすべく首長が英断を下し、準備を完璧にしていれば、イベントへのコロナ対策モデルができていたかもしれない。私はそのために「朝まで生テレビ」で何度も超党派、縦割り省庁打破の医療体制づくりを主張した。そこにはまだ信頼できる日本人像があると思えたからだ。真摯に世界と日本を考える人々がいると思えたからだ。

しかし、それは幻想だった。

国会議員に拠出される文書通信交通滞在費を巡る各政党の足掻きを見ているともはやこの国も終わりかと思わざるを得ない。こんな些細な議論に何ヶ月も費やす。しかもわずか100万円が欲しい本音が見えて、議員を辞めてもらいたい輩ばかりだ。国会議員は国民を代表して、国民のために国を良好に運営するのが使命ではないのか?

130万円余の月給すらこんな輩に支払っているのである。議論と言っても他政党を揶揄するだけで、国民のためになったことなどほとんどない。北朝鮮に拉致されている日本人を返してもらうこともできない。北方領土もアドバルーンを上げるだけで戻してもらえない。消費税を廃止すれば困っている人々がどれだけ助かるかわからないが、コロナの緊急事態宣言を出しても消費税を一時的にでも無くそうとはしなかった。(この件は右左関係なく多くの識者が指摘していた)東日本大震災の復興も進んでいるようで、進まない。

これまでは政府が悪いと思ってきたが、文書通信交通滞在費の議論の情けない有様を見ていれば、国会が悪い。それを選んでいる国民も悪いことになる。が、選挙に行って、選挙権を行使することこそ民主主義を支えると大義を喧伝されれば、どうしようもない候補の中からマイナス思考で人を選ぶしかない。選びたい人がいないのに選んだ結果が今の日本の状況ということだ。

選挙キャンペーンでは、国民のために滅私奉公を叫んでおきながら、欲しかったのは130万円の月給と文書通信交通滞在費という実態にこれまでなんとか信じようとしてきた彼らの生き様を根底から疑う次第。笑止千万だ。そのような輩が何を唱えようが誰がついていくものかわ。

これではコロナが起きて、大地震が起きて、天変地異にこの世が揺れても驚かない。かつて古代中国では、良き政治が良き指導者によって行われていれば、豊年万作、民は幸せに生きられ、もし天変地異が起きれば、それは悪き指導者の悪政によるものと考えられてきた。そこに中国的革命の思想がある。その伝統を少なからず受け継いでいる日本の政治家もこのところの日本の惨状を深く反省し、自らを改めるべきである。まずは、国会議員は無報酬とすべきである。その上で、自ら民のために命を捨てる覚悟の有志を選べばいい。

そんな日本の国会議員にロシアとウクライナの戦争を論じる力量はない。ロシアがウクライナに侵攻し、世界は概ねウクライナを応援しているが、その世論に乗じてロシア=悪、ウクラナイ=善、の単純思考を繰り広げるマスメディア。一方、ネットやYouTubeでは、ネオナチ陰謀論や米国世界戦略をあたかもインテリジェンスの如く解く識者たちも多数いて、何が本当なのか見極めるのも難しい。

自らの命を自らの愛した競技に捧げ、そのゴールの感動が、人と人を結びつける。その絆は国を超えて、スポーツ王国を築く。そこにはスポーツを通じた友情こそが基本原理となる。このダイナミズムをヘレニズムに生まれた休戦思想で再構築して、現代に復興させたオリンピズムには、現在の憂鬱なる世界を救うヒントがある。

オリンピック休戦を破った国と地域に属するオリンピック委員会は、その資格を停止される。ただし、オリンピズムと休戦思想に従順を誓うエリジビリティコード(選手宣誓書)に署名した選手は参加できる。オリンピック憲章の改訂がこの救いなき戦争停止の切り札になる。国際オリンピック委員会が政治的中立を矛に使う時が来ている。

既にIOCはプーチンに2001年、モスクワのIOC総会で授与した最高位五輪勲章、オリンピックオーダー金賞を剥奪すると表明した。またロシアとベラルーシの選手は、IOCが公認している国際競技連盟主催の大会には出場させないように推奨した。選手たちは自国を出るか自国政府の戦争を止めるかしないとオリンピックへの道がない。

かようにして戦争なき世界への一歩を開きたい。

(敬称略)

2022年4月20日

明日香 羊

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編集好奇
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ニュースオプエドというインターネットTVの「玉木正之のスポーツ万歳」で、
坂上康博教授と共演。先生の五輪憲章に休戦を破った場合の制裁規定を入れる
という提案に賛成した。鋭い指摘で、これまで政治に黙っていたスポーツ界が
一歩踏み出す姿勢になる。「五輪休戦決議に違反した国や地域のオリンピック
委員会とその選手を五輪から排除する」というのが先生の提案だったが、オリ
ンピック委員会を排除すれば、必然的にその国と地域に属する選手は参加でき
ないので、選手の排除は入れる必要はない。その上で、「選手宣誓書」に「自国
政府の軍事行動に反対する」一文を記載すればどうか?と返したところ、「さす
が」とのことであった。IOCに伝えるつもりである。

春日良一

【ダイヤモンドオンライン】
北京五輪の「オリンピック休戦」をむげにしたロシア、
IOCバッハ会長の葛藤
https://diamond.jp/articles/-/298005

【ゲンダイデジタル】
IOCへの諫言 五輪憲章から矛盾を糺す
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4322/495

日本と世界の重要論点2022↓
【Daiamond Online】
東京2020が日本人の記憶に残らない理由、北京に引き継がれた不信感と意義
https://diamond.jp/articles/-/291658

【Forbes Japan】
「命と引き換えにするほどの価値があるのか議論すべき時」
https://forbesjapan.com/articles/detail/39575
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考?ご期待
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次号はvol.458です。

スポーツ思考
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日刊ゲンダイ連載!
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/

NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
https://genkina-atelier.com/gorin/

哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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