IOCのUN戦略 ~ スポーツが政治を凌駕する日 ~

━━━━━━ Weekly Column Sport Philosophy ━━━━━━━
週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.360
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Genki-na-Atelier━

http://genkina-atelier.com/fwd3/spo

━━━━━━━━━━━

Sport Philosophy
───────────--------------------------__(、。)┓
━━━━━━━━━━━
○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●
────────────────────────── ☆☆☆
IOCのUN戦略
~ スポーツが政治を凌駕する日 ~

良く起こるIOC(国際オリンピック委員会)への誤解のひとつ
に、「IOCは言って見ればUN(国際連合)のスポーツ版さ」
と言うのがある。スポーツ評論家と称されている人も含め、多く
の識者がこの誤謬に気付いていないのには驚くばかりだ。

スポーツによる世界平和構築という単純明快な理念にオリンピッ
ク哲学の核がある。「そんなのただの夢空言、実際、オリンピッ
クが続いても戦争がなくなっていないではないか?」という声が
すぐそこに聞こえる。

しかし、IOCが創設されてオリンピック競技大会が復興して、
まだ100年ちょっとしか経過していないのである。その間、
二度の世界大戦の影響を受け、五輪開催が不可能となったこと
もあったし、テロリズムが選手を襲ったこともあったし、政治
によるオリンピックのボイコットも一度ならず行われた。人種
問題をアピールする舞台になったことすらあった。

にも拘わらず、スポーツが世界平和構築の唯一無二の手段である
というクーベルタン男爵の思いは脈々と受け継がれているのだ。

その思想を実現する仕組みとして、IOCの構造はUNとの根本
的な相違を示している。それはIOC委員の存在である。IOC
委員はその所属する国を代表して、IOCのメンバーとなってい
るのではない。オリンピック理念に賛同し、自らIOCメンバー
となろうとする個人をIOCが認め、オリンピック大使として、
それぞれの国や地域に派遣するという形である。

実はここにオリンピズムが超えようしているナショナリズムの
超克の仕掛けがあるのだ。UNがナショナリズムの調整機関で
あるのと根本的な相違がある。UNメンバーは第一にその国の
利益のために活動するのである。その利益と利益を戦争という
手段を使わずに調整するのである。しかし、大前提にあるナシ
ョナリズムを「構造的」に超克することはできない。

IOCはその理念に基づかないIOC委員を「構造的」に排除
することができる。ナショナリズムを超克できないIOC委員
は「理念的に」存在しないことになるのである。

例えば、ある社会主義国のIOC委員がいて、その委員が所属
する国家が国益のために五輪ボイコットを決めたとしよう。そ
の場合、そのIOC委員はオリンピズムとナショナリズムの狭
間で苦渋の決断をしなければならない。そして、オリンピック
の理念実現のための行動を起こさなかればなららい。それが、
オリンピック大使としての使命だからだ。

もし、各国のNOCの代表が参集する場がIOCであれば、こ
の時、IOCは各NOCの利害関係を調整する機関になってし
まうのである。

スポーツというツールを置くことによって、IOCが世界の人
々の一人一人に平和の理念をアプローチする仕組みがある限り
スポーツは世界平和構築の残された手段の一つである。

2014年の国連総会で国連はIOCの世界平和への貢献が今後の
世界への重要な一歩一歩になることを認めた。以来、IOCも
積極的に国連との連携を強め、IOCの施策への国連の関与を
強めている。国連自身がIOCに寄ってきているとも言える。

本年、7月29日には国連事務総長が「第31回夏季オリンピック
大会開催の7日前から、第15回夏季パラリンピック大会終了の7
日後まで、戦いを止めることを強く求めよう」という五輪休戦
をアピールした。

また、それより前6月3日には、IOCが難民選手団を五輪旗の
下に編成したことに共鳴した。

この世界から戦争をなくす手段として、IOCとUNのパワー
バランスが均衡になればなるほど、スポーツでの世界平和構築
の実現可能性は高まるだろう。

12月16日、第71次国連総会は「国際オリンピック委員会(IOC)
の自律とスポーツが持続可能な開発を可能にする重要な存在であ
る」ことを追認した。

(敬称略)

2016年12月22日

明日香 羊
-------

                             ────────<・・

△▼△▼△
編集好奇
▲▽▲▽▲

昨日の東京五輪四者会談。小池都知事が、経費分担
については、内政的な問題なので、IOCを除く、
三者協議で議論していくと〆ました。

最初から東京五輪は内政的には三者で話し合われる
べきものでした。

小池都知事が五輪を学んだと見るべきか?
それとも組織委員会が五輪を学んだと見るべきか?

皆さまのスポーツ思考を期しつつ

春日良一

追伸:
10月のバッハvs小池会談の後を受けて、五輪問題を
論じたコラムがiRONNAに掲載されています。
http://ironna.jp/article/4631
かなりの反響だったとのことです。

年末に向けて、スポーツ思考、短期集中連載
していきます。

ご高覧いただければ幸いです。

━━━━━━━
考?ご期待
━━━━━━━

次号はvol.361です。
(1998年からの400号を目指して あと40思考?!)

スポーツ思考
http://genkina-atelier.com/fwd3/spo

_________
CMリンク
=====~~~~~★
★☆★************************************************************★☆★

   紫外線対策グッズ専門店【ホワイトビューティー】

     8万枚突破のフェイスカバーをはじめ

高品質のUVカット用品多数!

http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2HO1G1+8C6C2+39B2+66OZ7
★☆★************************************************************★☆★

┃------------------------------------------------------------
┃ 購読登録は
http://genkina-atelier.com/philosophia/aboutme.htm から。
┃△△▲-------------------------------------------------------
┏━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ copyright(C)1998-2014,Genki na Atelier
┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃ ★本誌記事の無断転載転用等はできません。★


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

コメント


認証コード4907

コメントは管理者の承認後に表示されます。