五輪憲章に殉ずるが組織委員会の使命 ~何のための東京五輪なのか?~

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五輪憲章に殉ずるが組織委員会の使命
~何のための東京五輪なのか?~

前号の編集好奇で「産経新聞出身の方が仕切る東京五輪が、バッハの
オリンピズムを受け入れることができるかどうか?大いに注目である」。
と書いたら、早速、反オリンピズムの行為が出てきた。

「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会が、選手団参加や入場券
配分の手続きを行うために各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)
が必要とするIDなどの電子情報を北朝鮮NOCにだけ提供していないこ
とが九日、分かった。北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁じる日本独自の
制裁が背景にあり、同国に厳しい姿勢を取る首相官邸に配慮した可能性
がある。北朝鮮側は「五輪憲章の精神に反する」と反発、国際オリンピック
委員会(IOC)を通して正式に抗議することも検討しているという」
(LINE NEWS伝)

五輪憲章に基づいて五輪の開催準備はIOCから組織委員会に任され、
IOCと一体となってその運営に当たらなければならない。日本が北朝鮮と
どのような政治的関係にあろうと、五輪憲章に基づいて、IOCが承認する
NOCは少なくとも「オリンピックファミリー」として扱われるべきである。

五輪参加にとって非常に重要なIDを、IOCが承認しているNOCに組織委
員会が与えないということは、その時点で五輪憲章無視といっていい行い
であり、それが首相官邸に配慮したためであれば、その時点で五輪憲章
違反である。

オリンピックは政治、宗教、経済、あらゆる垣根を超えて人と人をスポーツ
で結びつける運動である。その大会を準備運営するまさにIOC代理人が
五輪憲章に反する行為を行っているという事実は正されなければならない。

「大会関係者は『二百六カ国・地域のNOC全てを同等に扱うべきだ。行き
過ぎるとスポーツへの政治介入になりかねない』とし、早期対応の必要性
を指摘した」(東京新聞本日の朝刊)とは余りにも呑気である。

今週月曜日にスポーツ文化評論家の玉木正之がアンカーを務めるインタ
ーネットTV「ニュースオプエド」という番組に生出演して、主に日本オリンピ
ック委員会(JOC)の定年制撤廃問題について、解説し批判した。問題は、
1989年にJOCがなぜ日本体育協会から独立して法人となったのか?に
ある。それは1964年東京五輪開催運営功労者で運営されてきたスポーツ
界が老いてきたことへの痛烈な反省であった。

その肝心は、1980年のモスクワボイコットであり、それまで五輪優等生で
あった日本は五輪精神から落第する。スポーツ界を変革するために障害
となる老いた役員たちは「老害」と揶揄されたが、それに勇気をもって反旗
を翻すものがいなかった。1988年のソウル五輪の敗北を契機にそれまで
黙っていた若手幹部が結束してJOC改革の烽火を上げたのだ。JOC改
革の胆にあったのが、「定年制」だ。「老害」を阻止するためだ。

今、JOCがその初心を忘れて定年制撤廃を模索するのはなぜか?その
心根には、北朝鮮に厳しい姿勢を取る首相官邸に配慮している組織委
員会の姑息さがある。スポーツのため、五輪のために命を賭ける志よりも、
現状の自らの地位に安穏としたいという欲が優先されている。

しかしそのような配慮が結局は北朝鮮と日本の関係を健全化することは
なかった。拉致問題が拉致があかない状態が何十年も続いている異常
は一重に政治で同胞を救うことができない現実ではないか?だからこそ
スポーツ外交によるチャレンジをするべきなのである。そして2020東京五
輪はまさにそのアピールのチャンスになるはずである。

五輪憲章に基づいて粛々と準備を進めるだけでも、組織委員会の仕事
が信頼され、北朝鮮との関係改善の糸口が掴めるきっかけになるのでは
ないか?

昨年11月に訪日したバッハIOC会長が組織委員会の準備状況を絶賛し
たが、その準備は衣だけのものであって、魂が抜けているものだと今回
の一件が教えてくれる。

東京五輪2020が成功と言えるのは現在問題となっている世界の火種を
国境を超えて解決していこうと手を取り合う姿を発信することのはずであ
る。組織委員会は永田町ではなく、ローザンヌを向いて仕事をしなけれ
ばならない。

(敬称略)

2019年3月10日

明日香 羊
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編集好奇
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オプエドで韋駄天を絶賛したら、玉木氏に「そんな人に初めて出会った」と
言われました。「明治時代にスポーツ、スポーツって、言ってたんでしょうか?」
とはらしい疑問で、それはなかったと思うのですが、その代わりに体育とスポ
ーツが意味を包含しあっていたんですね。(小生の韋駄天考第二話にあります)
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そのことを宮藤官九郎氏はスポーツで表現しようとしていると思うのです。

またまたアウェイ感充満のスタジオでしたが、視聴者から「韋駄天見て
ます。面白いです」とか声をいただき、うれしいものでした。「韋駄天の視聴率
が冴えないのは綾瀬はるかの出演場面が少ないから」とは名回答でした。

春日良一

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考?ご期待
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次号はvol.398です。
(1998年からの400号にあと3思考?!)
スポーツ思考
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NHK大河「韋駄天」が扱う五輪運動について
カントの純粋理性批判ならず「純粋五輪批判」
もご覧ください。
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コメント

  • 北への情報提供「政府と相談中」

    産経新聞によると、2020年東京五輪・パラリンピック組織員会は11日、北朝鮮オリンピック委員会への情報提供について政府と協議していることを明らかにしたという。五輪憲章に基づいて設置された組織が五輪憲章違反を堂々としている現状を何の躊躇いもなく述べている。北朝鮮について「今後、政府との関係で整理していくべき点もあるため、全体として政府に情報提供し、相談している」というのだ。この時点で組織委員会は政治的に活動している。どうしようもない。


  • Re: 北への情報提供「政府と相談中」

    と思ったら、今日の産経新聞によれば、「大会組織委員会は12日に北朝鮮NOCに(ID)を提供したと同日、明らかにした」とのこと。当コラムが奏功したのか?いずれにしろ、この問題で政府に相談した時点で組織委員会はオリンピズムに反している行動規範を真摯に反省すべきである。反省の弁は聞かれない。



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