スポーツ王国の外延 〜バッハ会長の銅像〜

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スポーツ王国の外延
〜バッハ会長の銅像〜

旧暦ならば小正月、すなわち1月15日に北京市中心部にある東四オリ
ンピックコミュニティー公園にIOC会長トマス・バッハの銅像がお披
露目された。

日本のメディアはこぞって「中国との親密な関係!」と煽った。五輪
音痴と言うほかはない。IOCなどたかがスイスの小さなスポーツ機関、
そのトップである会長といったところで大したものではない。その固
定観念が、東京2020の開催にいたる過程でバッハ批判に繋がった
根本にある。

たかがスポーツ団体、されど世界のスポーツを司る機関。日本以外の
世界はその128年の歩みが築いた歴史を人類の歩みとして捉え、それ
なりの敬意をもって見ている。故に、IOC会長がその国を訪問すれば、
一国の大統領級の接遇対象になる。実際、私もJOC現役時代に各国で
開催される国際会議にJOC代表として参加すれば、それなりの待遇で
迎えられた。IOC会長が歴訪となれば、空港からパトカーが先導する
のは当然のことだった。

しかし日本ではどうか?政府関係機関と何度も交渉し、様々な理由を
付けて、IOC会長にSPを付けるのに散々苦労した。IOC会長がスィート
に泊まるのを贅沢だという心には、たかがスポーツ団体のトップに過
ぎない奴が何を偉そうにという思いが潜んでいる。

まあそれでもOK

だが、それが国際基準ではないこと、世界的儀典には
即していないことを知っておくべきだ。

Thomas Bach

北京のオリンピック公園にはIOC創始者のクーベルタンの銅像もある。
北京五輪2008が決まった時の会長、サマランチの銅像もある。南
京でのユース五輪開催時の会長ロゲの銅像もある。これはすべて、中
国がどれだけオリンピック運動に敬意を表しているかの証拠である。
銅像は単なる象徴だが、中国はサマランチ基金を作り、同国のオリン
ピック運動を推進する基盤にした。おそらく、北京冬季五輪が終われば
バッハ基金も作り、冬季スポーツ振興の土台とするだろう。

かようなアクションが中国だけかと思えばそうではない。1988年のソ
ウル五輪の開催国、韓国でもサマランチ基金を作っているのである。
東アジア三大大国でかような思慮に及ばないのが日本だけというのが
現実である。

自国のことしか見えないのは、日本のメディアだけではなくて、日本
のスポーツ界も同様である。最近、中国系の経済誌のインタビューを
受け、その中で、長野五輪で得た収益で作られた基金がその後の日本
の冬季競技者の成長に結びついたという話が出たので、それは違うと
冷水をかけた。

もともと長野五輪招致のキーとして、アジアの冬季スポーツの発展へ
の寄与という目玉があった。そしてそれを実現するために長野五輪後
にその収益でアジア冬季スポーツ振興基金なるものを作り、アジアの
アスリートのための基地としてナガノを位置づけようというものだっ
た。招致最終プレゼンテーション直前に荻村JOC国際委員長(元国際
卓球連盟会長)の発案で、コンセンサスを得たこの一発が長野1998の
決め手になった。

その基金の理念を忘れてアジア冬季スポーツ基金は日本の選手強化に
使われていたというのだ。実は、この事実を知ったのはかなり前だが、
その反省もなく東京2020を迎えていたことに改めて驚いた次第。

中華全国体育総会の我が旧友はサマランチ会長を自国に迎えるにあた
って私にこう語った。「我々は米国の大統領と同じようにもてなす。
なぜなら彼はスポーツ王国の大統領であるから」

中国の権威主義と米国の民主主義の対立を超えるためには、スポーツ
王国のオリンピズムしかないのではないか?スポーツ王国への敬意で
人と人が結ばれていく世界を夢見る我々が、それぞれの国でそれぞれ
のナショナリズムを超える努力をするしかないのではないか?

かつて旧友と語り合った一夜が思い浮かぶ。

旧友は今や中国スポーツ界のナンバーツー、IOCでも確固たる地位を
築いた。

彼は中から、私は外からスポーツによる世界平和への夢を綴る。

「オリンピック運動のためにがんばりましょう」それがいつも我々が
分かれる時の言葉である。

(敬称略)

2022年1月23日

明日香 羊

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編集好奇
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北京冬季五輪はチケットを売らないことを決めた。コミュニズムのなせる業。

春日良一

日本と世界の重要論点2022↓
【Daiamond Online】
東京2020が日本人の記憶に残らない理由、北京に引き継がれた不信感と意義
https://diamond.jp/articles/-/291658

【Forbes Japan】
「命と引き換えにするほどの価値があるのか議論すべき時」
https://forbesjapan.com/articles/detail/39575

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考?ご期待
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次号はvol.451です。

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哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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