ウクライナ戦争とガザ紛争にスポートができること 〜ウクライナ冬季五輪とガザスポーツセンター〜

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ウクライナ戦争とガザ紛争にスポートができること
〜ウクライナ冬季五輪とガザスポーツセンター〜

国際オリンピック委員会(IOC)理事会が9月18日と19日にミラノで開かれた。直前にスペインのペドロ・サンチェス首相が「欧州の政府がすでに、蛮行が続く限りイスラエルがいかなる国際的な舞台も利用できないと発言しています。スポーツ組織は、イスラエルが競技を続けることが倫理的に正しいのか自問しなければならない。なぜロシアはウクライナ侵攻で排除され、イスラエルはガザ侵攻で排除されないのか?」と主張したことをコベントリー新会長は重く受け止めたようだ。

19日に次のような声明とも取れるリリースをIOC公式サイトトップページに掲げた。「紛争と分断に揺れる世界において、IOC理事会は、スポーツが希望の光であり続けなければならない、つまり、平和的な競技で世界全体を一つに結びつける力であり続けなければならないという確固たる信念を堅持している。これはオリンピック・ムーブメントの真髄であり、オリンピズムの基本原則に由来している」と。

なぜロシアには制裁があってもイスラエルにはないのか?

メデイアも含め一般が常に問いかける疑問だ。単純にダブルスタンダードだと言ったりする。「社会の枠組みの中のスポーツ」を意識するように変わったIOC(この知らぬ内に行われた小さな意識変革については後日スポーツ思考しなければんらない)は、ストレートにこれに答えることを回避する。

「残念ながら、世界には多くの戦争や紛争があり、何百万人もの罪のない人々が影響を受けています。戦争の犠牲者は一人たりとも多すぎることはありません。IOCは、国家間の対立は暴力ではなく対話によって解決されるべきであると強く信じています。

IOCは、世界各地での競技の中断、選手の開催国への入国制限、そして政治的緊張による競技のボイコットや中止を懸念しています。これらの行為は、選手から平和的に競技する権利を奪い、オリンピック・ムーブメントがスポーツの力を発揮することを妨げています。

オリンピック憲章は、「スポーツは社会の枠組みの中で行われる」こと、そして「オリンピック・ムーブメントに属するスポーツ団体は政治的中立性を保つ」ことを定めています。さらに、国連は総会決議を通じて、スポーツの自律性とIOCの中立性を繰り返し再確認してきました。これらの決議は単なる象徴的なものではなく、スポーツという神聖な空間を世界の分断から守るための呼びかけです」

そして、選手が五輪運動に参加できる道を探ることにIOCの正当性(レジテマシイ)を見出す。

「スポーツが持つ結束力は、2024年パリオリンピック競技大会において紛れもなく示されました。206の国内オリンピック委員会(NOC)の管轄地域出身の選手と難民オリンピックチームが、選手村で調和のとれた生活を送り、競技場では平和的に競技を行いました。この精神に基づき、IOC理事会は、すべてのNOCが選手と共に2026年ダカールユースオリンピック競技大会に参加できる道筋を見出すことに尽力しています」

そしてコベントリー新会長は作業部会に仕事をさせる。実践的である。

「IOCの『未来にふさわしい』プロセスの一環として、IOC理事会は本日、『オリンピズムの基本原則の保護に関する作業部会』の設置を決定しました。この作業部会は、IOC、オリンピック競技大会、そしてスポーツが政治的に中立であり、平和的な競技を通して世界を一つにするという使命を果たせるよう努めることを目的としています。選手たちは、オリンピズムの基本原則に基づき、オリンピックの価値観を示し、平和大使としての役割を果たす絶好の機会を得ています」

ロシアとイスラエルに対するIOCの行き方はダブルスタンダードではない。根本的に各国オリンピック委員会(NOC)は、国家から自律していることが前提にある。この前提のもとにIOCに認められるか認められないかが生ずるのだ。認められたNOC以外が五輪に選手を派遣することはできない。しかしこの前提が現実的でない場合がある。スペイン首相の発言にイスラエル政府は反発しているが、イスラエルNOCは何も言わない。しかし、一方でパレスチナNOCはスペイン首相を支持している。この場合、オリンピズムから言えば、イスラエルNOCがNOCとして妥当で、パレスチナNOCがNOCとして妥当でないことになる。

 平和の大使 2025-09-22 16

オリンピックがナショナリズムを否定しつつ、ナショナリズムを肯定している現実がある。NOCが派遣する各国選手団の旗は多くの場合、国旗であり、選手を讃えるために演奏される歌は多くの場合、国歌である。しかしスポート(スポーツは複数形で競技を表す。理念としてのsportはスポートと訳すべきだ)は同じルールの下で互いに競い合う活動の中で純粋個人が表出する。その闘いの中で、相手を認めるという感覚を得て、相手とのゴールを共有する。頭で考えるのではなく身体で感じるのである。

NOCの仮面を被って国家の名誉のために競技した選手もその瞬間にナショナリズムを超える萌芽を得る。意識に基づいて、グローバリゼーションを謳うのではなく、感覚でコスモスを感じるのである。

この原理がオリンピズムであり、スポートが世界構築の道になることの方法序説だ。

IOC理事会最終日直前に、私はIOC事務局に緊急提案書を送った。一つはウクライナ戦争を止めるためのウクライナ冬季五輪開催、もう一つはガザ紛争を終わらせるためのガザ国際スポーツセンター構想である。

前者は今日本人のオリンピックへの思いを衰退させている札幌冬季五輪招致断念状態を鑑み、札幌とキーウの冬季五輪共同開催を招致すると言う作戦である。今やIOCの信頼を勝ち取っている橋本聖子日本オリンピック委員会(JOC)新会長ならば勇猛にも手を挙げられるだろう。次の冬季五輪は2038年、そこに向けて今から札幌とキーウが手を組めば、世界が戦禍の地での平和の祭典に目を向け、かつ失われた日本の五輪主義復活への狼煙となるだろう。

ガザ紛争を終わらせる手立ては見つからないままだが、トランプ米国大統領が破壊され尽くした後のガザを商業センターにすると言うような発言をしたことがある。それに触発されたわけでは断じてないが、ガザを世界のスポーツコンプレックスとして確立すれば、イスラエルもパレスチナも武力によって手を出せない空間が作れるだろう。そこにパレスチナの人々が暮らすことができれば、武器を置いた日常が得られるだろう。そのスポーツコンプレックスには世界中の選手が高度なトレーニングでき、一般の人々がスポーツに親しめる時空ができる。

以上は夢物語に思われるかも知れないが、この構想をIOCが世界に呼びかけ、世界のアスリートに平和大使としての参加をアピールすれば、現実的な希望になるはずだ。

このスポーツ思考は「オリンピズムの基本原則の保護に関する作業部会」と橋本会長に提案するつもりである。

(敬称略)

2025年9月22日

明日香 羊
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編集好奇
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昨日は世界陸上2025の観戦に行ってきました。久しぶりの新国立競技場、五輪開催一周年記念イベントに参加して以来だから3年ぶりであった。千駄ヶ谷からの道、競技場に足を運ぶ人々の笑顔とワクワクするようなステップが私を幸せにした。東京2020は無観客であったことの忸怩たる思いが秋風とともに消えてゆくような感じだった。人とスポーツが交流する場があることの意味が少しばかり分かったかも知れない。頭ではなく私の体が感じた真実であった。人はスポーツで繋がれる。身体で真理に至ることができると。

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創作大賞2025(note)に五作品を応募しました。その経緯をお読みください。
https://note.com/olympism/n/nc64126028a80
古希の旅 琴平慕情 初の小説的紀行文 必見!
https://note.com/olympism/n/n935d8b2c4f3d
橋本聖子が新会長 JOCにいま何が?(日刊ゲンダイ) 春日にしか書けない深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/5337

noteでスポーツ思考の人気記事をマガジンとしてまとめました↓
https://note.com/olympism/m/m58da6016e53d

noteで「春日良一の哲学するスポーツ」YouTubeChannel版をまとめました↓
https://note.com/olympism/m/m584856513250

IOC会長選 7候補マニフェスト完全採点
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/5241

IOC会長選挙の結果についてゲンダイでも論じました。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/369469
コベントリーの勝利にプーチンが反応しました。融和外交に入っていくか?

「2024パリ大会 徹底、実践五輪批判」日刊ゲンダイ連載、全18話
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4728/495

Forbes Japanで開会式について五輪アナリスト春日良一が分析。詩的スポーツ思考。
https://forbesjapan.com/articles/detail/72709

YouTube Channel「春日良一の哲学するスポーツ」は下記から
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オリンピックやスポーツを考えるヒントにどうぞ!

『NOTE』でスポーツ思考
https://note.com/olympism

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次号はvol.534です。

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