オリンピック運動から去るのは誰か?インドネシアかそれとも国際体操連盟か? 〜イスラエル選手団を拒否したインドネシア〜
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オリンピック運動から去るのは誰か?インドネシアかそれとも国際体操連盟か?
〜イスラエル選手団を拒否したインドネシア〜
第53回世界体操選手権は10月19日からインドネシアはジャカルタで開幕した。男子個人総合では日本の橋本大輝(24)が3連覇を達成し盛会である。しかし、その内実が問われなければならない事態になっている。
10月22日、国際オリンピック委員会(IOC)は声明を出した。
インドネシア政府がイスラエル選手団のビザを取消したことを受け、IOC理事会は今週リモート会議を開催。本件の具体的状況と、国際競技大会への選手アクセスに関する世界的な課題について協議した。IOCは改めて原則的な立場を強調した。
「オリンピック憲章およびオリンピック運動を統治する非差別、自治。政治的中立という基本原則に従い、すべての資格を有する選手、チーム、スポーツ関係者は、開催国によるいかなる差別もなく国際スポーツ競技会、イベントに参加できるべきである」(IOC声明前文)
そして、下記の通り厳しい決定を下した。
・インドネシア政府が、国籍を問わず全ての参加者の入国を許可する十分な保証をIOCに提供するまで、将来のオリンピック競技大会、ユースオリンピック競技大会、オリンピック関連イベントや会議の開催に関するインドネシアNOCとのあらゆる対話を終了する。
・インドネシア政府が、国籍を問わず全ての参加者の同国への入国を許可する十分な保証を国際競技連盟に提供するまで、全ての国際競技連盟に対し、インドネシアでの国際スポーツイベントや会議の開催を控えるよう勧告する。
・オリンピック競技大会の出場資格原則を改定し、国際競技連盟に対し、世界中のあらゆるオリンピック予選大会の開催契約において、全ての選手に対する当該国へのアクセス保証を盛り込むよう要請する。
そして、インドネシアオリンピック委員会(NOC)と国際体操連盟(FIG)にローザンヌに来て話し合えと要求した。
インドネシアは2036年以降の夏季五輪招致に以前から情熱を傾けており、そのために各種国際競技会も誘致している。
一方で、FIGは渡辺守成会長率いる団体で、インドネシア政府と緊密な関係をもち、インドネシアに永続的健康促進の貢献をすることを約束している。
オリンピック運動の立場から言えば、インドネシアも体操も「やばい」状況である。

1962年のアジア競技大会@ジャカルタが想起される。この時もインドネシアは宗教上の理由から参加資格のあったイスラエルと中華民国にビザを発給しなかった。結果、IOCと国際陸連はこのアジア大会を公認しなかった。そしてこの大会に参加した国のNOC承認取り消し(資格停止)も仄めかした。
日和見主義の日本オリンピック委員会(JOC)は迷った挙句、選手団を派遣した。そして、津島壽一日本体育協会会長(JOC会長)、田畑政治JOC総務主事が辞任した。
その後、インドネシアは非同盟国家による競技大会構成を目論み、GANEFO(The Games of the New Emerging Forces) を作るが、長続きはしなかった。
今回の出来事は63年前の事件を彷彿とさせる。インドネシアがオリンピズムの理念を尊重しない限り、オリンピック運動のメンバーになれないが、一方でイスラエル選手団が入国できないという条件下で世界選手権を開催したFIGの責任も問われなければならないだろう。
「10月15日にFIGはスポーツ仲裁裁判所(CAS)が10月14日、10月19日から25日にかけてインドネシア・ジャカルタで開催される世界体操選手権に関連し、イスラエル体操連盟及びイスラエル体操選手団がFIGに対して申し立てた緊急暫定措置の請求を全面的に却下する2件の決定を下したことを確認する」として下記を表明していた。
FIGは一貫して、インドネシアにおける入国ビザ発給に関する権限を有していないことを強調してきた。インドネシア当局によるイスラエル人へのビザ発給拒否決定は、FIGの管轄権及び管理範囲を完全に超えるものである。
FIGはここに改めて表明する。国際体操連盟として、体操競技を世界的に統括する国際スポーツ連盟は政治的中立性を堅持し、その定款・規則の枠組み内、並びにオリンピック運動の基盤となる中立性・非差別原則に厳格に従って行動する。
FIGは、この不幸な状況と影響を受けた選手たちへの影響を深く遺憾に思う。国籍や個人の属性にかかわらず、規則と規定に基づき、全てのFIG競技会が適格な体操選手に開かれたものであることを保証するという揺るぎないコミットメントを改めて表明する。
つまり虚飾を省けば「オリンピズムの理念を尊重しているが、現実的にビザ発給の権限のない以上、政治的決断に従うしかない」と言っていることになる。
これではスポーツが世界の形を理想的にしていく道を諦めるしかない。
IOCの声明によれば、インドネシア政府がオリンピズムの理念どおり、政治も宗教も超えてスポーツに殉ずる者に競技会へのアクセスを保証しない限り、インドネシアが国際スポーツ界に参入することはできない。
IOCがここまで踏み込んで、かつ「オリンピック競技大会の出場資格原則を改定」するという一文を記したことに私は大きな意味を見ている。(これは私がバッハ時代からIOCに訴え続けてきたことだ)
今次世界体操選手権には中立の選手としてロシアやベラルーシの選手が参加している。しかし彼らの参加資格はあくまでも「中立(AIN)の選手として」である。選手の参加資格として、あくまでもオリンピズムに賛同し、世界平和に貢献するアスリートであり、戦争を拒否する者であることが必要になる。つまり、この論理を逆手に取れば、イスラエルの選手にも同様の参加資格を求めなければならないということである。
「中立」の選手から、「平和」の選手への決心を参加資格に求めなければならない。それはまず「戦争反対」を表明することになる。
(敬称略)
2025年10月24日
明日香 羊
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編集好奇
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ジーターが「大谷の偉業」を過小評価したことで、全米中の批判を浴びている。この現象は、老害を感じさせる。これまでのレジェンドの定義自体を「大谷の偉業」が変えているのだ。
老兵は去り行くのみ!そこにしか美学がない。
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