オリンピック休戦破りを誰も批判しない 〜これこそがダブルスタンダード〜
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オリンピック休戦破りを誰も批判しない
〜これこそがダブルスタンダード〜
ミラノ・コルティナ冬季五輪の開催7日前からパラリンピック閉会後7日後までの期間はオリンピック休戦が実現されなければならなかった。
2022年の2月24日、北京冬季五輪閉会後2日が経っていた。ロシアがウクライナに侵攻し、この時のオリンピック休戦は破られた。直後、国際オリンピック委員会(IOC)は声明を出し、休戦破りを厳しく非難した。
そして翌日、ロシアとベラルーシへの制裁を発表する。両国における国際スポーツ大会の禁止だけであった。しかし、その3日後に強烈な制裁を行う。ロシアとベラルーシのパスポートを持つ選手の国際競技会へ参加を禁止したばかりか、プーチンから最高位勲章オリンピックオーダー金賞を剥奪することを含む詳細に渡る制裁を発表したのだ。
この選手に対する制裁は今大会の参加資格にも影響し、ロシアとベラルーシの選手は、中立個人選手(AIN)としての参加のみが認められ、国の代表としての参加ができず、当然のことながら国旗、国歌など国をイメージするあらゆる表章(シンボル)を使用することが許されなかった。
それはオリンピック休戦破りの罪がウクライナ戦争の継続状況で許されていなかったからだ。ではガザ紛争のイスラエルがなぜ参加できるのか?とパリ五輪とミラノ・コルティナ冬季五輪参加資格条件にダブルスタンダードと世論は述べたが、それはオリンピック休戦という軸を理解していないことによって起こった曲解である。
スポーツで世界平和構築をオリンピックが求めるとすれば、このオリンピック休戦の思想を実現するしかない。故に、歴史上初めてIOCはロシアの休戦破りに非難声明を出した。それが2022年だったのだ。
プーチンが2022年休戦破りを決心した背景には、NATOへのウクライナ加入に対する危機感があったが、なぜこの時だったのか。それはオリンピック休戦期間だったという逆説的な理由からだと私は思う。彼は2014年のソチ冬季五輪閉会後にクリミアに侵攻し、短期間で終結させ、パラリンピックに影響を及ぼさないで済ませている。
国連決議を得たオリンピック休戦を世界が守ろうとしている油断の中に事を起こし、五輪が閉会した直後に短期決戦で終わらせる。批判をする暇も与えない。そしてパラリンピックを迎える。
この成功体験から北京冬季五輪の休戦を利用しようとした。しかし、ウクライナの執拗な抵抗にあい長期化してオリンピックから見放された。
ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉会し、世界が「響き合う」時空になる希望を持ったその直後に今度はトランプが事を起こした。オリンピック休戦を意識して、ベネズエラ侵攻を年頭に行ったトランプは、五輪閉会後、パラリンピック開会前にイランを終わらせるつもりだった。まさにプーチン式を自分なら成功に導けると模倣した。しかし、イランも思った以上の力を持っていた。

問題はIOCである。2022年のようにオリンピック休戦破りのアメリカとイスラエルを非難する声明は発表されなかったのだ。ダブルスタンダードと言うならこのことではないか?
私はIOCの出方を静観しつつ声明を待った。
3月3日IOCの声明が出た。その核心部分はこれだ。
「私たちはすべての国連加盟国に対し、ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピック大会への出場資格を得た選手たち、特に最近の紛争の影響を受ける可能性のある選手たちが、この大会への旅を歩むことを支援するよう訴えます」
オリンピック休戦は古代オリンピア祭の心を繋ぐものだ。「オリンピアに武器を捨てて集まれ!」選手も観客もその間の旅の安全を各都市国家が保証することでオリンピア祭が実現する。選手のオリンピアへの旅路を守るのが政治の使命であると言うことだ。その原点を想起される声明というわけだ。
トランプとネタニヤフのせいでイランの選手が大会に参加ができなかった。旅の安全が確保されなかったからだ。これはまさにオリンピック休戦違反ではないか!
トランプはこれで五輪開催国元首に相応しくない人間となった。彼にゴールドオーダーが授与されることはあってはならない。
私はIOC会長宛に書簡を送った。IOCがオリンピック休戦違反に対して2022年の時と同様の姿勢を貫くことを要望した。ずっと悩んでいたが、今、私ができることはそれしかないと思ったからだ。
アメリカとイランの戦争を語る人々の口から「オリンピック休戦」が語られない。それを語られなければIOCの意味がないではないか。
(敬称略)
2026年3月9日
明日香 羊
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編集好奇
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ミラノコルティナ冬季五輪を斬る(2)で「金メダルが取れない理由」を書こうと思っていましたが、イランへの米国侵攻が起きてしまい黙っているわけにはいかず。
トランプを甘やかしたFIFA会長インファンティーノのせいと思える。
平和賞が簡単にもらえた。オリンピックオーダー金賞もそんなもんだと思ったのだ。
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「新・実践五輪批判」連載完結!
https://www.nikkan-gendai.com/?p=news&column=5471
ミラノコルティナ冬季五輪を機に地政学的な視点にオリンピズムのプリズムを入れて世界を見るという哲学的挑戦をしております。どうぞご高覧ください。
YouTube Channel「春日良一の哲学するスポーツ」は下記から
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次号はvol.548です。
ミラノコルティナ冬季五輪を斬る(2)
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