スポーツ思考回顧録 Respectablility of Sport Philosophy vol.1

堀江貴之と松井秀樹の違いとは何か?
スポーツは欲望を希望に変える。

「記事の背景」
2006年1月23日 - 堀江貴文が証取法違反(風説の流布、偽計取引)容疑で東京地検特捜部により逮捕される。2月13日、公判請求。


スポーツ思考録 vol.231 2006/3/3

イチゴ世代>>
 イチゴ世代とは、今から16年前に評論家草柳大蔵が、
当時の「趨勢」を表した言葉で、当時15(いちご)歳
だった1238万人の第二の団塊世代に脅威を持ってそう
称した。幼年期から空調の効いた空間で過ごし、人格
形成期に飢え、寒さという生存のメカニズムを脅かす
要素を情報として受け取れなかった世代の作る社会が
とんでもない方向にいくのではないかとの憂慮である。
 現在東京地検特捜部が捜査中の堀江貴文はまさにこ
のイチゴ世代に当たる。「金があればなんでも手に入
れることができる」とは、資本主義の究極の表現であ
るかも知れず、草柳が憂えた言葉であるだろう。その
世代のイソップ物語は、キリギリスの音を楽しむのが
是で、豊かな冬を過ごすために楽しみを忘れて働くア
リは、過労死の憂き目に会うそうだ。
 しかし、見渡せば、松井秀喜も中田英寿も同世代と
言ってもいい歳である。彼らの見つめている先にある
のは、果たして金だろうか?求めるゴールに向かって
彼らが耐えた日々には、飢えも寒さもあったはずだ。
かくしてスポーツはどんな時代にも人格形成に必要な
糧を贈っている。
 スポーツは金で買うものではなく、自らを賭するも
のだからだ。
                     羊


(敬称略)