2030札幌冬季五輪招致断念の意味 〜秋風落莫の招致活動〜

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2030札幌冬季五輪招致断念の意味
〜秋風落莫の招致活動〜

10月5日夜「札幌市が30年冬季五輪招致を断念」の一報が入る。「えっ?」今なぜこの時。昨年7月、東京五輪2020の汚職事件の煙が見えた頃から、札幌での五輪開催に暗雲が立ち込めてきたという観点の報道が大勢となった。そして日本オリンピック委員会(JOC)が主導すべき日本スポーツ界の動向も、2030年招致は難しいという方向に流れていた。コロナ禍での五輪開催をやり遂げるために、社会に迎合することが五輪運動の生きる道と思い込んだ行き方の上に今の日本スポーツ界があるとしか思えない状況だ。

今2030年招致断念を公表する意味は全くない。全くないというのはあくまでもオリンピック界からの視点であるが。2019年から国際オリンピック委員会(IOC)は五輪開催都市選考方法を改革して、それまでの競争型から話し合い型に変えた。五輪開催7年前に立候補都市の中からIOC委員の投票によって開催都市を決めるやり方から、五輪開催に関心を持つ都市との話し合いを進め、理想の五輪を理想の五輪年に理想の都市でやることを共に模索する方法になったのだ。

札幌が2030年は難しいと思ったとしても、それを素直にIOCの将来開催地委員会に相談して、2034年以降の開催も含めて相談を継続すればいいだけである。その感覚が掴めていないとしたら、その時点で札幌には立候補都市の力量はない。もし、それを知った上で、今、あえて公表したとしたら、その意図は国内向けの何かでしかないと思わざるを得ない。

そう思っていたら、2030年度の北海道新幹線の札幌延伸も延期された。こういう場合、先に札幌延伸延期があって、その結果、2030年札幌冬季五輪招致断念が解になるという方程式と思ったほうが良いだろう。

もっと言えば、JOC会長の山下泰裕がこのところずっと「2030年札幌冬季五輪は非常に厳しい。真摯に五輪運動を理解してもらうしかない」と言った趣旨の弱音を吐いていたのは、東京五輪2020の五輪汚職事件によって、これまで頼ってきた電通の力を前提とした札幌五輪開催の絵が描けなくなったためだとも言える。電通なき五輪開催に代わる案を策定するまでにまだまだ時間がかかるということである。

だとすれば、2034年以降の開催を目指すというが、その成功の可能性はますます低くならざるを得ないのである。

札幌 2023-10-07 18

国内だけを考えて世界を見ない招致活動が成功するはずがない。

そして、「断念」するのであれば、その理由の中に次に繋がるメッセージを残さなければならない。五輪招致は五輪運動の学習でもある。「断念」の理由を「市民の同意を得られない」とするなら、同意を得られるようなメッセージがなければならない。2034年への抱負を展開できない形の「断念」では、半永久的に五輪招致を諦めるというに等しいのである。札幌が窮地と見るやスウェーデンも、スイスもすぐに手を上げ、そして最近ではフランスが本気になっているのは、五輪開催のメリットが理解できているからだ。五輪が世界と市民へのメッセージなることを知っているからなのだ。

「断念」にメッセージを込めない限り、2034年以降の招致を成功に導くための2030年の「断念」はあり得ない。五輪汚職の禊もできていない。そのチャンスを自ら失ったとも言える。ポイントはIOCにどれだけ札幌があるいは日本がオリンピック運動を理解し、貢献しようとしているかがアピールできるかである。

それ故、私は2030年冬季五輪をウクライナで開催しよう!という平和運動に招致活動を変え、その運動に賛同する形で2030年開催の有力候補であった札幌市が自らの立候補を「禅譲」する戦略を展開することを提案した。その運動は世界に札幌の五輪理解度を示すことになるし、札幌市民の五輪理解にも寄与する。「断念」でなく「禅譲」である。

私はこの思いを伝えるべく緊急で「哲学するスポーツ」に私の思いをアップした。
https://youtu.be/FOsGNmIiN6Y
望むらくは10月11日の山下会長、秋元市長会談で新たな展望が開かれることだ。私は愚直に山下泰裕の一本に期待する。

されど秋風落莫の感、否みがたし。

(敬称略)

2023年10月7日

明日香 羊
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編集好奇
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今週はeスポーツを施行しようと思いましたが、速報で「札幌招致断念」が入り、スポーツ思考を展開しました。その前に「哲学するスポーツ」速攻でこの事態を批評しました。
https://youtu.be/FOsGNmIiN6Y
秋風が心地良いこの頃でしたが、この一報は冬が早いことを思わせたのでした。まさに秋風索莫であります。

緊急提言「2030年ウクライナ冬季五輪の胎動」ご高覧いただければ幸いです。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4575

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