vol.311 有終の美~引退のオリンピックメッセージ~

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  Sport Philosophy 

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 有終の美
 ~引退の五輪メッセージ~
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 「国際オリンピック委員会委員に任期がある」ことを知ったのは、
つい最近のことである。オリンピズムの精神から引退はありえず、
それに一線を画するのは、年齢による線引き以外にないと思ってい
たからである。

 スポーツ界の役員になるにはそれなりの年齢に辿り着かなければ
ならない。華々しい選手歴を得て、社会人としての知性と教養を身
に付け、スポーツ界への恩返しをするべく「ボランティア」の役職
につくのである。

 それまでに培った知力と財力をもって堂々の貢献をスポーツ界に
行う。これがスポーツマンシップの純粋なストーリーであると思う。

 しかし、この弊害はいくつになってもスポーツへの情熱があれば
とその役職にしがみつくことであった。

 1964年の東京五輪の遺産は数々あるが、その最も根本的なス
ポーツ界への遺産は、日本体育協会の人材であった。東京五輪を成
功させて事務的能力がそこに集められたからである。そして、その
職員たちが、スポーツ理念に目覚めて立ち上げた体協職労という体
育協会職員労働組合こそ、後の日本オリンピック委員会独立をなし
とげる隅の親石であったと思う。

 その体協職労がかかげた「体協のあるべき姿」には、役員の定年
がはっきりと詠われている。東京五輪を成功させた若い力は、そこ
に蔓延る老いた権力に幕引きを迫った。その思いは、1989年の
体協から日本オリンピック委員会が独立する形で成し遂げられ、そ
の時、役員の定年は70歳とされ今日に至る。

 ところが、当時、私の直下で体協職労の執務をし、役員の「老害」
に反旗を翻していた輩がいざ自らが権力の地位を得るとなると、あに
恐ろしや、定年延長などをのたまう。新聞によれば、日本オリンピッ
ク委員会事務局長が事務局の定年延長について、給与も保持したま
ま役職も保持して、士気を高めるなどと論じているというのだ。

 士気とは、給与や地位に全く関係ないところにあるもので、自ら
の命を削ってオリンピック運動に貢献することこそ日本オリンピック
委員会職員の志だと、現役時代の私は口をすっぱく論じていた。その
言質に頷いていたはずの君は、自らのために五輪を捨てているとしか
思えない言動だ。

 スポーツが教えてくれるものは数々あれど、その秀逸たるは、死
であると私は思っている。サッカーで負けた時、それは死ぬほどの
結果である。どうしてもこれ以上はいけないというところにいたる
も引退という死を味あわせてくれる。そのおかげでスポーツを学んだ
ものは潔くその場を去るのである。

 私は潔すぎて38歳の若さでスポーツ界を去った。

 国際オリンピック委員会委員は任命されれば、それがオリンピッ
ク大使という名誉職であるが故に引退はない。死するまで尽くすべ
きとの考えがある。一方で、スポーツ界の新陳代謝を良くし風通し
をよくすることが求められ、定年は70歳となり、そして、いつし
か任期も8年となっていた。五輪憲章第16条の1の7が、加わっ
ていた。2004年のこの改正に気付いたのは、あるベテランの記
者で、彼の「任期あるんですね?」の質問にうろたえた。

「・・・、IOC の各委員は8 年間の任期で選出され、さらに1 期または
複数期再選されることができる。再選の手続はIOC 理事会によって
決定される」

 思えば、IOC委員も任期を決めなければ、いつもでもそこにいす
わり、五輪運動への貢献よりも、自らの地位確保に躍起になるという
現実からの条項制定であったように思えた。

 いずれにしろ、今、スポーツ界がやるべしは、若手スポーツ行政
官の育成であり、今の事務局のレベルを維持することではない。ス
ポーツが教えてくれる「潔さ」だけでも貫く覚悟を持って欲しいと
ころだ。

 役職にしがみつく醜態は少なくともスポーツ界で見たくない。し
かし、IOCもFIFAも定年延長に傾き、この世の春を謳歌しよ
うとたくらんでいる。君たちに与えられた限りある時間に、全力を
尽くし、オリンピック運動のためにその時間を捧げよ!それが、ス
ポーツ界をリードするものの「あるべき姿」と私は信ずる。

                         (敬称略)

2014年4月2日  

                        明日香 羊         
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                                  ────────<・・

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編集好奇
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 いつも頭にはオリンピズムがあり、スポーツ思考への意欲は
あったのですが、仕事と闘病に追われ、本日に至りました。

 私の世代がスポーツ界のトップになる時期となったことを実
感するにつけても、オリンピズムの語り部は止められないと思
う次第。

 皆様のスポーツ思考を期しつつ

 有終の美か、憂愁の美か?
 もちろん後者は辞書にない。
 しかれども今のスポーツ界は憂愁である。
 それに気が付いていない群集を憂う。

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  考?ご期待
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