選挙活動のモラル 〜IOC会長選挙指針に学ぶ〜

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選挙活動のモラル
〜IOC会長選挙指針に学ぶ〜

10月15日の衆議院の解散によって衆議院議員の小選挙区選挙と比例代表選挙が、10月27日に行われる。政党各党選挙活動に精魂費やしているが、彼らの訴えを聞く度に気分が悪くなる。その原因を追求してみて気がついたのが、誹謗中傷合戦となっているからだ。

ソーシャルメディアで誹謗中傷がやっと問題視されるようになったが、政党代表による演説が他党を批判することについては当然のように容認されている。彼らは「批判だ」と言うかもしれなが、批判というのが自己の主張を展開するためのものであるのに対して、今の日本のそれは根本的に他党を揶揄するだけという構図である。

11月5日に投票となる米国大統領選挙も相手候補者を諂うことに終始しているようだ。政治においては敵を攻撃するのが常套手段である。しかし、全く相手を批判してはいけないとされている選挙活動がある。

来年3月に世界のオリンピック運動を担うリーダーを決める国際オリンピック委員会(IOC)会長選挙である。9月15日に立候補が締め切られ、キャンペーンの火蓋が落とされた。しかし至って静かである。それは選挙活動指針に厳しい掟があるからなのだ。

衆議院選挙 2024-10-23 12

例えば、立候補の広報には、あらゆる形態の広告が除外され、候補者が行ういかなる種類の宣伝も、他の候補者を尊重し、特に比較を避けるなど、他の候補者に不利となるようなものであってはならないとされているのだ。

もし、日本における選挙活動で他党を批判することなく自らの主張をアピールできる演説や広報が展開されたとすれば、すっきりと政策が理解できるし、大人の事情にうんざりしている若者世代の政治離れもなくなるだろう。

ソーシャルメディアについては、他の候補者を尊重し、特にいかなる種類の言及や比較を避けることを条件に、さまざまなトピックに関する候補者の立場を宣伝するために許可されるが、第三者による候補者の推薦(シェア、いいね、リツイートを含む)は禁止されている。

例えば日本人で立候補している渡辺守成が自ら会長の務める国際体操連盟の関係者から「いいね」を受けることはできない。むしろ、この指針について積極的に周知徹底させることは候補者の責任とされている。

日本の選挙にこの指針を導入することを提案したい。

少なくとも他人を悪く言うことを禁ずるだけで、よりよい日本をどう築くかを示せる人が見えてくるだろう。

IOC会長立候補者は1月中旬ローザンヌで立会演説会に招待されている。それが唯一のプレゼンテーションの機会である。財政的事情による選挙活動の不平等を回避することもその目的の一つである。

日本の選挙活動が多額の費用を必要としている現状は、自由、平等、博愛の民主主義からはかなり遠い。その現実を見直すべきである。

(敬称略)

2024年10月23日

明日香 羊
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編集好奇
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ジムへの道を歩いていると「〇〇です。◇◇さんの応援です」と選挙宣伝カーがやってきた。〇〇ですで、えっ?となり、◇◇さんは私の候補リストから外れた。

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コメント

  • デモクラシィーの聖火のよう

    なるほど、そういう否定無しの選挙、肯定のみの選挙というのも、いいですね。
    非常にフェアープレイだ。本当の意味の武士道とか、友情のボレーのようなものにも
    通じている。大村先生のよく言っていた優劣のかなたのような感じもある。
    まあ、地上のデモクラシーの選挙は、オストラコンの昔から、多分に闘争本能の
    はけ口もあるようなところもあるから無理でしょうが、せめて思考実験としては、
    質問はしてもいいが批判は禁止の立ち会い演説会とか、そういうものをもっと多く設ける
    努力などをしてもいいね。
    プーチンやトランプやネタニヤフのいるような地上では、なかなか叶わぬ夢だとしても、

    まるごと人間を肯定的に見る、大目に大目に見るというような選挙が、この地上に
    拡大していくことは理想的だから、IOCが文化として継承していくのは素晴らしい。

    デモクラシィーの聖火のよう。



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