ノーベル賞とオリンピック平和賞~大島鎌吉を思う~
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ノーベル賞とオリンピック平和賞
~大島鎌吉を思う~
前号で大島鎌吉について思考していたら、不思議なことがある
ものである。陸連関係者の古参にばったり、それもほぼ二十年ぶ
り。それも電車に座っている私の隣に引き寄せられるように座っ
てきた老人その人(仮にA)である。
元国際陸連のボス、故プリモ・ネビオロ会長と親しく、その道
でイタリアン人脈と陸連ネットワークを有していた人物である。
私が声をかけるとすぐに気付き、矢継ぎ早に畳み掛けるように話
し始めた。
もうスポーツ界を引退したかと思えたが、つい最近もイタリア
からの友人を大相撲に接待したとか意気盛んであった。
「それにしても、最近のJOCはどうしたの?粒が小さくなっ
て、東京五輪も政治にやられちゃうんじゃないの?」ときた。
聞けばその友人もネビオロの取り巻きだった男で、東京五輪招致
にはAの呼びかけで賛意を表明してくれたと言う。
ネビオロと言えば、スポーツマフィアのドンと呼称されたこと
もある国際陸連の大物、国際サッカー連盟のアベランジェ元会長、
そしてIOCサマランチ会長と三羽烏と言われたものだ。
私自身はネビオロのわがままを彼の秘書と二人で宥め調整した
経験があるが、深くは入り込まなかった。東京五輪招致にAの存
在は確かに必要だったかもしれない。
「会場施設の変更も勝手にやりだしているけど、あちら(海外)
では皆心配しているよ。今に騒ぎ出すよ」
本年6月に桝添都知事が五輪会場の見直しを表明し、それに森
組織委員会会長がゴーサインを出した時、テレビ朝日に呼ばれて
論評したが、その時の視点は正に国際競技連盟の立ち居地であっ
た。
招致の公約は果たさなければならない。IOCがそれについて
は厳しく開催都市に迫る。しかし、実際の会場計画等競技専門の
分野については、IFすなわち国際競技連盟の管轄になる。だか
らIOCは6月の桝添発言にもその後の調整委員会でも柔らかい
対応をした。今後、開催計画変更についてはIFにまず任せると
いうエクスキューズがあるからなのだ。
そのことに都知事も組織委員会も気付いていない。
さていよいよ蓋を開け、開催計画、会場変更について、IFに
お伺いを立てる段になれば、まさにそこから国際渉外が始まるの
であり、交渉の火蓋が斬って落とされる。そこまで行くと招致の
中で美味しい話をぶら下げていればいるほど、熾烈な交渉を覚悟
しなければならないのである。
そのことをかつての古参Aは引退しても心にとめていたという
ことである。いつか忘れ去られていた国際スポーツ界のコンセン
サスに触れ、いかに現在のスポーツ界の立ち居地が危ういもので
あるのか?憂慮を深めた。
「最近、大島さんのことを考えてるんですよ」と私がわずかに
口を挟むと、にやりとして「かまきち?」と言った。体制派では
なかった大島のことはスルーされようとした。
「大島さんがいたら、東京五輪招致自身に反対だったんじゃな
いかな?」
さらに唐突だったが、「彼はオリンピック平和賞をもらいまし
たが、もしノーベル賞だったら、もらったでしょうか?」
前号の思考以来、ずうっと考えていたことを古参にぶつけた。
「もらわないだろうね」
実は近代五輪の父、ピエール・ド・クーベルタン男爵は、ノー
ベル平和賞の候補に上げられ、打診を何度か受けていたという。
しかし、彼はそれを拒否した。人類を殺戮する爆薬や兵器で得た
富への償いとしての賞にオリンピックは相応しくないとの思いか
らだと言う。
今、日本では日本人のノーベル物理学賞受賞に大騒ぎである。
まさか、ノーベル平和賞をも拒否するだけの胆力ある人物がいた
とは誰も信じないだろう。
しかし、ちょっと前の日本のスポーツ界にはそうい侍が何人も
いたのである。だからスポーツで平和と言えたのである。
大島鎌吉を忘れるべからず!
(敬称略)
2014年10月18日
明日香 羊
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編集好奇
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奇跡といえば大げさですが、本文に掲げた遭遇は突然でした。
「引き寄せの法則」というのを聞いたことがありますが、ま
さにAさんは私の大島思考に引き寄せられたかのように登場し
ました。
常にスポーツ思考をしていれば、スポーツ平和が引き寄せら
れるでしょうか?
皆様のスポーツ思考を期待しつつ
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考?ご期待
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次号はvol.325です。
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コメント
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武士の本分
Aさんとの出会い、やはり何か引き合うものがあるんですね。
大島鎌吉さんのお引き合わせでしょうか。
貴兄は若い頃から波長が合っていたようですからね。
その波が、大きなサイクルを描いて、今又高まっている
のかも知れませんね。
「侍」という概念には、無欲に義を通す。不言実行というような
面があるのでしょうか。ともかく、お金とマスコミに染まってしまった
今の日本人には実行の難しい理念ですね。
政治、経済、軍事、宗教、マスコミ(インターネットのある面も)というものは、
とかく全てを勝ちか負けか、損か得か、信じるか信じないか、
あるいはスイッチONかOFFかで決めようとします。
しかし芸術、スポーツ、教育、医療、食などは、「和」を美を調和を
育みと癒やしを使命としていますから、常に対立する二つのものの調和を
ハーモニーを、つまりツマミの目盛りやチューニングが生命です。
中でもスポーツは、目に見える形で、闘争の昇華を、芸術化を
示しますから、これの最も総合的な近代的理念であるオリンピズムは、
人類の至宝とも言うべき理念なのだと思います。
ただ、問題はどうしてもこれが政治や経済、あるいは軍事や宗教や
プロパガンダと無縁ではあり得ぬということで、まさにこの両陣営の接点
の所に貴兄の仕事があるわけですよね。
本質的にストレスのかかる仕事ですが、やりがいのある仕事です。
長崎さんと二人で推進してきたベビー・アクアティクスは、まさにこの
スポーツと教育の融合、そして貴兄が料理の達人であるということも、
「食の平等」という言葉がありますが、この調和の感覚の証でもありますね。
「水」「食」、いずれも人類の(あるいは生命の)根源につながる必須のものです。
子供達のスポーツ(サッカー)によってアラブとイスラエルの対立を
乗り越えようとした貴兄の若き日の仕事なども、まさにこの調和の力
によって上記の対立陣営の中に斬り込んだもので、まさに侍の一分
であったわけですね。
愛ゆえにこそ傷つきやすい貴兄であるので、頑張ってもらいたいと思います。
私も詩などという儚い営みで頑張ろうとしていますが、これもまたギリシァ
の精神の末裔、イデアの邦の住人たらんとする営みのはしくれです。
これからが、自身の人生の軌跡の確認、個々バラバラに無意識に経験
してきたことの総合であり、自覚化ですね。
ご夫婦でしてきたことの総合でもあり、意識化の時かも知れませんね。
年寄りのひが事にならぬよう、より人生の言葉、人類の言葉になるように
結晶化するということ。ゲーテの言ったように、観念の言葉ではなく行為の
言葉になるようにすること。これらは自分自身に言い聞かせている言葉で
あります。