新都知事はオリンピズムから選ぶべし ~開催都市の使命~

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新都知事はオリンピズムから選ぶべし
~開催都市の使命~

前号で予言したとおり、舛添都知事はオリンピズムの制裁を受けた。
五輪を自らの名誉に利用しようとした人間に開催都市の市長は似合
わない。同様に新しい都知事に立候補した面々も五輪が裁くことに
なるだろう。

五輪開催都市の代表となるということは、五輪の目指すスポーツに
よる世界平和構築の理念を身を挺して実現する先頭に立つというこ
とである。

そのことについて一般やメディアはともかく、立候補せんとする面
々も認識がない。昨日の4名の立候補意志たちの記者会見を拝見し
て、落胆の極みであった。

五輪のことに質問が行くと皆さま口を揃えて都税を無駄遣いしない
とおっしゃる。政治家の限界を見る。無駄遣いとは何か?それは、
資金を無駄に使うことである。ならば五輪は無駄なものなのに開催
が決まっているから仕方なくやるのだろうか?

一番問題だったのは鳥越で、「リオ五輪はジカ熱、治安、財政など
問題だらけだが、東京はそうではない都市として立派な五輪をする」
ような趣旨の発言をして意気揚々としている。オリンピズムの無知
を露呈している。

 まずリオ五輪は開催前である。これから成功を期して準備してい
るオリンピック開催都市の同志に対して、悪評を語るのは一体どう
いう料簡であろうか?五輪は常に問題を抱えている。しかし、それ
を克服して最高の閉会式を迎えることで、その理念実現を象徴する
のである。まだ始まってもいない五輪を侮辱するとはオリンピック
都市の代表として全く相応しくない。

 オリンピズムは彼に落第点を与えるしかない。

 その他の候補は異口同音であり、政治からスポーツをコントロー
ルするぐらいの気持ちで五輪を見ている。30点から50点までの
成績である。

 五輪開催の節約については、国際オリンピック委員会(IOC)
自身がその目標に掲げていることであり、五輪の持続可能性は五輪
にとっての重要事項でもある。しかし、彼らとの視座が全く違う。
立候補者たちは、都税を無駄にしないために五輪開催の経費を縮小
化するという。しかしオリンピズムがその節約を謡うのは「スポー
ツを通じて世界平和を構築するため」である。そのために五輪は開
催し続けなければならないからだ。

 尊敬していた宇都宮もこと五輪については、ただの国際スポーツ
大会としか見ていないようだ。大運動会に世界平和構築の使命があ
るなどと考えたこともないのだろう。「五輪の在り方を変える」な
どと政治のスポーツ介入であるという意識もない。30点だ。

 小池も増田もあまり変わらないが、日本ウエイトリフティング協
会会長の小池は少しはアスリートよりの気持ちがあるようで、「ア
スリートファーストといいつつ選手が必要としている練習場も国立
競技場にはない」と言っていた。その分、点数は上がるが、オリン
ピックの真のゴールには無知蒙昧である。小池50点、増田40点
か。

 いずれにしろ、オリンピズムは彼らを理想的オリンピックシティ
のメイヤーとは判断しない。

 改憲の視点で言えば、現日本国憲法こそオリンピズムを象徴する
憲法である。第9条の武器を持たない自己規定こそ、オリンピック
憲章の求めるスポーツによる世界平和構築の精神と一致する。

 2020年は世界戦争の危機も予言されている。中国の強大化と
ロシアの世界戦略、米国のナショナリズム、イスラム過激主義など
混迷の度を益々深めているだろう。そのとき、世界の人々に友情と
敵をも愛する情熱を教えるものが必要だ。そのメッセージがくまな
くこの世のあらゆる襞に行きわたれば、人類は変革できる。

 2020年東京五輪にはそのような使命が課せられている。それ
がオリンピズムの使命であり、それを実践する第一人者が東京都知
事である。

 世界平和を構築するのにいくらお金をかけますか?

 私が都知事立候補者に投げる最後の質問である。

(敬称略)

2016年7月14日

明日香 羊
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編集好奇
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1998年に週刊スポーツ思考を発行した。
今や月刊のようでもあるが、細々と継続し、
18歳となった。

選挙権を得たスポーツ思考の
最初の裁きは都知事選になった。

記者会見に出ていれば一番聞きたかったのは、
「6月23日は何の日ですか?」
である。

五輪都市の市長には正解してもらわなければ
ならない質問である。

春日良一

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