シューズを履くのは選手である 〜技術革新の神話〜

━━━━━━ Weekly Column Sport Philosophy ━━━━━━━
週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.415
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Genki-na-Atelier━
http://genkina-atelier.com/sp/
━━━━━━━━━━━
Sport Philosophy
───────────--------------------------__(、。)┓
━━━━━━━━━━━
○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●
──────────────────────────
シューズを履くのは選手である
〜技術革新の神話〜

「陸上長距離種目で好記録を連発している"厚底"シューズを巡り、
ワールドアスレティックス(世界陸連)は禁止の方針から一転、
規則改定を見送る」と1月29日英ガーディアン紙が報じた。
「世界陸連は厚底シューズを禁止する代わりに、五輪後までの
新シューズ技術開発を禁じるほか、他ブランドとの比較からシュ
ーズの有利性を検証する調査に着手することを発表する予定。将
来的には、企業により新たに作製されるシューズは事前にプロト
タイプを申請し、承認を得ることが義務化されるという」

今から10年位前になるだろうかちょうど北京オリンピックの前、
レーザーレーサーと言う水着が開発されてこれを着ると記録が大
幅に伸びると言うことで大騒ぎになった。猫も杓子も高速水着を
追い求めた。しかしその後国際水泳連盟(FINA)の水着認定基
準が見直された。今回も同様な動きだ。
根本にあるのは企業間の技術革新競争である。FINAのルールが
改定され水着の規定ができると、過当競争は下火になった。な
ぜか?

知人で実際高速水着の素材研究を共有したH氏によれば、「高速
水着が、その後出てこなくなったのは、急なルール変更で、各社
莫大な損失を出したからですね。公認を取る為に、莫大なアプル
ーバル費用をかけて、公認をもらい、急なルール変更で、また取
り消しと。振り回されて終わりという結果に・・・二度と繰り返
さないように、慎重になっていると思います。陸上も同じ道をい
くと思います」
鋭い指摘である。

Nikeの厚底シューズについて私の見解は単純である。「弘法筆
を選ばず」である。スポーツにおいて重要な事は、「より速く、
より高く、より強く」を目指して努力することである。それを実
現するのは自分自身であり道具ではない。以前のオリンピック憲
章には「理想的なスポーツと言うのは道具に頼らないものである」
と言うことが明文化されていた。1990年のオリンピック憲章大
改正により、こうした国際競技連盟(IF)に関わる部分はIFに
任せる前提で、国際オリンピック委員会(IOC)の理事会の決議
に付す形に変わったが、背景にあるオリンピック精神は生き残っ
ている。

道具の革新は選手の努力に奏功する場合に限り有効なのであり、
本質的なものではないということだ。そこを忘却するのでどの
シューズがもっとも速いのか?どの水着が最も速いのか?とい
う競争に衆目が集まる結果になる。関係する企業も自分たちが
世界記録を生み出したと錯覚に陥る始末だ。
実際のところ、高速水着が下火になった後でも世界記録は出続け
ている。マラソンで2時間の壁を破ることは企業の宣伝としては
重要かも知れないが、会場によって条件がまったく異なる42.
195キロで記録を争うことの意味は、果たしてどこまで普遍性
があるのか?マラソンの記録は非常に相対的である。であるが故
に美しいのだ。

IMG_7448 (1)

1960年のローマ五輪大会、裸足で走ったエチオピアの選手が金
メダルを獲得した。続く東京五輪でマラソン二連覇に輝くアベ
ベである。このアベベに最初に靴を履かせた人は誰か?アシッ
クスを創業した鬼塚だ。私がJOCを辞めてゲンキなアトリエを作
った時、一番に祝ってくれた一人である。ローマ五輪の翌年、毎
日マラソンに出場したアベベに鬼塚はアプローチしたのだ。裸足
にこだわるアベベを説得してアベベは鬼塚のシューズでダントツ
の優勝を飾る。けれども1964年の東京オリンピックの時に履
いた靴はプーマだった。

日本のマラソンの父、金栗四三は播磨屋の足袋を改造してマラソ
ンシューズを作ってもらった。シューズは選手が選ぶものであっ
て、シューズが選手を選ぶのではないということだ。

(敬称略)

2020年1月30日

明日香 羊

                         ────────<・・

△▼△▼△
編集好奇
▲▽▲▽▲
長年、そう22年になるのだ。スポーツ思考の配信が。
老舗のまぐまぐから始め、メルマも追加し、その後、
メロンパンも追加した。2000年には、2000を超える
読者がいた。その後、ブログができ、facebook が登場
し、メルマガ文化も残火か?メロンパンが数年前に配信
終了、そして今月でメルマが終了する。さすがに老舗
まぐまぐは頑張るだろうが、一抹の寂しさがある。
Malerliteを使い独自配信は続けていくつもりです。
https://genkina-ateliercom/sp/
緑色のボタンから購読登録しておいてください。
してない方は。

春日良一

━━━━━━━
考?ご期待
━━━━━━━

次号はvol.416です。
メルマでの発行は1月末で終了します。
今のうちにhttps://genkina-ateliercom/sp/
緑色のボタンから購読登録しておいてください。
メルマでの登録情報は2020年1月末で抹消されます。

年末久々に産経デジタルiRONNAに執筆しました。
東京オリンピックと禁煙対策についてです。
ご高覧いただければ幸いです。

https://ironna.jp/article/13939
「タバコなき東京五輪」をレガシーにするにはココが足りない

スポーツ思考
https://genkina-atelier.com/sp/

日刊ゲンダイで連載!
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/

NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
https://genkina-atelier.com/gorin/

哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

_________
CMリンク
=====〜〜〜〜〜★
★☆★************************************************************★☆★
紫外線対策グッズ専門店【ホワイトビューティー】
8万枚突破のフェイスカバーをはじめ
高品質のUVカット用品多数!
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2HO1G1+8C6C2+39B2+66OZ7
★☆★************************************************************★☆★

┃------------------------------------------------------------
┃ 購読登録は
https://genkina-atelier.com/sp/ から。
┃△△▲-------------------------------------------------------
┏━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ copyright(C)1998-2014,Genki na Atelier
┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃ ★本誌記事の無断転載転用等はできません。★


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛非

コメント


認証コード6727

コメントは管理者の承認後に表示されます。