vol.290 日本国憲法第九条と五輪憲章 ~世界平和戦略のヒント~

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  週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.290
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日本国憲法第九条と五輪憲章
~世界平和戦略のヒント~


 2020年五輪開催地決定まで一ヶ月余となった。

 なぜ日本でしかも東京で五輪を開催するのか?

 2020年五輪東京開催がオリンピック運動にいかなる貢献ができる
のか?

 そのことに五輪主義から回答を出すこと、それが特に2020年五輪
開催に求められる。

 地球は人間の所業の結果、変貌を続けている。地球温暖化(ある
いは地球寒冷化というエネルギー専門家もいる)、原子力発電と放
射能汚染、各地で止む事無き紛争勃発。人皆これを危惧し、知者は
実行なき警鐘を鳴らすが、古代の賢者のように命がけの予言をする
ものはない。

 たて続けに起こる飛行機事故、欧州の列車脱線事故を見るにつけ
て、地球の軸がずれてきたのではないかという根拠のない不安を持
つ。身近でも転んで怪我をする人が増えているように思う。

 古代ユダヤ、預言者の時代であれば、「悔い改めよ、自らの道を
正して歩め」と警告が下っただろう。春秋戦国時代であれば、百家
争鳴に世直しの声が上がっただろう。しかし、今、このような聖人
はいない。

 その中で人類の救いになる思想があるとすれば、五輪哲学。とい
うのが私の主張である。これについては、既にJOC時代から常に「五
輪運動、」五輪運動」と唱え続けていたためだろうか、そのお題目だ
けは伝わり、今では東京都知事も真面目に「スポーツが平和を作る」
と言われるようになった。

 少なくともそう言わなければ、五輪に関われないことは人皆理解
しているようだ。

 ならば、この哲学を実現する具体的手段をどうするか?というこ
とを政治的に考えなければならない。

 古代オリンピアでは、都市国家戦争を四年に一度は止める期間を
作り、その間は運動競技で身心を競った。その間は休戦、一時的平
和状態が実現できた。ご承知のとおり、その思想を近代ナショナリ
ズムの台頭を懸念したクーベルタン男爵が復元したのがオリンピズ
ムである。

 1992年ボスニア紛争を眼前にしたサマランチがオリンピック休戦
を唱えこの思想を現代に復活させた。

 私自身も1995年に戦禍サラエボに入り、戦火の中、スポーツフェ
ストを開催することによって、その間の平和実現に挑戦した。

 オリンピアン(オリンピック出場選手)がスポーツ平和隊として、
戦火の中、もしスポーツ大会を実現できれば、それはかけがえのな
いオリンピズムの平和実現メッセージになるであろう。

 しかし、私自身もできなかったことはその危険地帯にオリンピア
ンを同伴することであった。オリンピズムのミッションを保護する
使命もオリンピズムのアドミニストレーターにはあるからだ。

 想起するは日本国憲法である。第九条である。世界平和を永遠に
希求し、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する憲法であ
る。

 紛争地でのオリンピック競技大会を実現する、もしくはオリンピ
ック競技大会中の休戦を実現することを裏付ける唯一の憲法である。

 その憲法を持った日本が東京で再び五輪を開催することの意味は、
第九条が補償するのである。ここに自衛隊を平和利用する根拠が創
出される。実際、軍事力皆無状況でいかに平和を実現するかの論を
有しない護憲派に軍事戦略理論を与え、平和を守るにはそれなりの
軍事行為が必要だとする改憲派に専守防衛の軍事戦略理論を与える
のである。

オリンピズムの実践を可能にする憲法を持つ唯一の国、日本での五輪開催は歴史的意義になるのではないだろうか?

(敬称略)
 
2013年7月29日
                         明日香 羊

                                  ────────<・・

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編集好奇
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 この7月、世界平和スポーツサミットという試みがなされ、各国か
らオリンピックメダリストやスポーツ行政に携わる方々が出席され
た。

 諸氏が語るスポーツへの思いは信仰に近い。平和実現の手段、自
己と他者の融合、スポーツへの信仰=奇蹟を起こす力、変革を起
こす力。

 しかし自らがスポーツに携わってきた上での信仰告白であるから、
説得力もある。

 武器を持たない平和構築プログラムの実現のために、最小限の武
力で、平和実現するアスリートを守る戦略は、憲法第九条そのもの
なのではないでしょうか?

 松竹伸幸さんの「憲法第九条の軍事戦略」は五輪哲学実現にもと
ても参考になります。

 それでは皆様のスポーツ思考を期しつつ。

 ありがとうございました。

   
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  考?ご期待
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 次号はvol.291です。 
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