vol.293 なぜ東京が勝ったのか? ~オリンピックの論理~

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  Sport Philosophy 

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 なぜ東京が勝ったのか?
 ~オリンピックの論理~
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 今回ほど、五輪招致に日本のメディアが集中したこともないだろう。
開催都市が決まる9月7日(日本時間9月8日未明)に向けて、テレビ、
新聞、雑誌、あらゆるメディアが招致に集中した。

 私にもミヤネ屋の出演依頼があり、五輪招致の真実を語る機会と参
上した。やったこともない投票予想をやることとなり、しばしの沈思
黙考。東京62が浮かびあがった。

 誰も信じない数字だった。しかし、結果は最終投票で60を東京が
得た。ならば少しは私の五輪論にも聞く耳をもってほしいところだ。
テレビには独特の緊張感があり、ライブとなるとまさに実戦。土壇場
でディレクターから「票を読んでください」と言われ、唖然とした
のが事実。

 私の招致活動はいわば突撃隊式で、例えば長野の勝利を信じてIOCに
突っ込む形なので、集票分析は必要ない。それはエージェントに任せて
おけばいいことだった。その報告で長野が不利と言われたら、それを
いい方向にに交渉ができるし、有利だったらそれを逆手にライバル都市
有利に情報を操作すればいい。

 出演真近の控え室で、大陸別のIOC委員の数を眺め、顔を思い出
した。昔取った杵柄?あるいは五輪仕事とともきづいた勘か、読むと
したらこれしかないという数字が浮かび上がった。

 その思考経路を反芻すると、

 五輪開催地はIOC委員が決める。IOC委員の思考が守らなけれ
ばならない第一の不文律。五大陸のハーモニー。もちろん現実との軋轢
で妥協も伴うが、彼らが何かを懸命に思考しようとするとこの論理に
従わざるをえない。

 今回の総会のもうひとつの重大決定事項は新会長を選ぶことであ
った。これから8年のIOCをリードする人物を選ぶというのは、
五輪開催地以上に重要かも知れない。その二つの重大決定が同じ大陸
であってはならない。

 一方で会長立候補者の最有力者はトマス・バッハ。欧州大陸からの
選出となる。ならば、五輪開催地は東京に傾く。東京に決まれば、逆
にトマス・バッハ会長実現の確実性が増す。実力者バッハは東京開催
を応援する方向に動く。すれば欧州の大半の票は東京に来る。

 2024年パリが有力だから2020年マドリッドはなし論もあっ
たがこれは時間軸のバランス感覚であり、同時に決定しなければなら
ない場でのハーモニーの不文律はもっと強力なものである。

 また一方で日中スポーツ交流が別の軸で動く。日本と中国の関係は
政治上ではどうしようもないが、スポーツでは良好のままだ。中国の
IOC委員3名は日本を応援する。中国が築いてきたアフリカ支援は
スポーツ界でも行われており、これまでつかみにくかったアフリカの
票が東京にやってくる。

 そこに危ないと思われていたOCA会長アーマドが、ANOC会長
の立場も使い、これもトマスと中国の圧力でアジアと中南米の票を纏
める。

 以上が私の62票予想の脳内の動きであった。

 今回、高貴なる久子様の素晴らしいスピーチが際立っていたけれど
も、五輪開催地はプレゼンテーションでは決まらない。五輪開催地の
決定は、そこまでの集票活動によるのである。私の考察が正しければ、
今回、東京が選ばれたのは、新会長ともう一人のIOC実力者のおか
げといっても過言ではない。

(敬称略)

2013年9月13日 
                                                                   明日香 羊 
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編集好奇
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 短時間での思考が良い結果をもたらす。
ミヤネ屋のディレクターのプレスのおかげで、東京60票に近い数字が出せました。
 2票の誤差についてはまた別の機会に論じたいと思います。
 今後の招致の参考になれば。

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  考?ご期待
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 次号はvol.293です。 
  

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