vol.297 五輪を開催するのは都市である~五輪憲章の仕掛け~

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 五輪を開催するのは都市である
 ~五輪憲章の仕掛け~


組織委員会の人事が水面下で動き出している。招致活動成功の論功行賞は全く組織委員会づくりには影響しないようだ。そこからは、政治が本性を表すからだ。

 安倍晋三首相が2020年東京五輪開催大会組織委員会会長に森
喜朗元首相(76)を充てる方向で調整していることがこの11日
に明らかになった。政財界やスポーツ界に幅広い人脈を持つ森を起
用し、オールジャパンで準備に取り組むことを狙いとしている。

 これに対して、東京都の猪瀬直樹知事が「人選はぼくのところで
やる」と否定し不快感を表したとのこと。

 しかし、このやりとりはオリンピズムから見れば滑稽でしかない。
本来、開催都市にも、ましてや政府にも、組織委員会づくりを指導
する権限はないからだ。招致最終スピーチでは「オリンピックムー
ブメントに尽くす」ことを誓った安倍は、五輪憲章を読んだことが
あるのだろうか?

 オリンピックが平和運動でありえるのは、様々な仕掛けが存在す
るからだ。そのひとつが、開催するのが「国」ではなくて「都市」
であることである。オリンピックは「政治も、宗教も、そして国境
も超えて」若人を参集するのである。そのために招く場所は、国で
はなくて「都市」なのである。

 それによってナショナリズムが入り込む余地を制御する。

 オリンピック憲章第35条は、「オリンピック競技大会の組織は、
IOC から、開催都市のある国のNOC および開催都市自身に委任され
る。当該NOC はこの目的のために組織委員会(OCOG)の設立に責任
を持つ」としている。すなわち東京五輪組織委員会の設立は、日本
オリンピック委員会および東京都に任され、しかも設立する責任は
日本オリンピック委員会にあるということだ。

 だから、本来、全く政府の出る幕はないし、東京都が主導権を握
るわけでもない。

 日本オリンピック委員会が東京五輪開催組織委員会を設立するた
めに検討委員会を作り、骨子を決め、それを東京都に打診していく。
あるいは、その骨子に従い、東京都を指導していくというのが、本
来のあり方である。

 五輪憲章はさらに「五輪大会組織委員会の執行機関(理事会)に
は次の者を含む」として、当該国に派遣されているIOC 委員、当該
国のNOC会長および専務理事、開催都市が指名する代表、少なくとも
1名」としている。

 憲章があくまでもオリンピックの権威が組織委員会をリードしな
ければならないと言っているのが重要である。それはスポーツへの
政治的介入を回避するというオリンピズムの思想の表現でもあるの
である。

 「オリンピックムーブメントをさらに推進するために東京を選ん
でほしい」とした安倍首相が、政治をどっぷり背負った森元首相を
会長に任命するというのは、まさに五輪運動への冒涜と言える。そ
のことに気付いていない関係者、それを批判しないメディアには、
一度でいいからオリンピズムの法典、オリンピック憲章を読んで、
その精神を理解してもらいたいものである。

(敬称略)

2013年10月14日                                                              明日香 羊 
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編集好奇
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 五輪組織委員会はOCOGと略されます。Organizing Committee for
the Olympic Games。文字通りオリンピック競技大会のための運営委
員会です。オリンピック競技大会「を」運営する委員会ではないと
いうことです。ならば、IOC委員とJOC会長、専務理事が執行部を占
めるのは当然ですね。

 東京開催までの様々な現象もオリンピズムから思考していきたい
と思います。

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  考?ご期待
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 次号はvol.298です。 
 (あと3号で300になりますね。1998年からの300号はいつか?)

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