vol.302 組織委員会設立は自律の思想

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 組織委員会設立は自律の思想
 ~五輪憲章を哲学する その5~
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 「東京五輪組織委員会理事会メンバーから、猪瀬知事を除外する
ことを検討している」という記事が昨日の産経新聞一面に掲載され
た。徳洲会グループから猪瀬都知事が5千万円を受け取った問題で、
都やJOCが猪瀬知事を2020年東京五輪大会組織委員会の理事
会メンバーから外すことを検討しているというのだ。

 五輪憲章第35条の付属細則には、「開催都市に指名され、開催都
市を代表する者少なくとも1 名」を組織委員会の執行機関すなわち
理事会に入れなければならないとしている。それが都知事になるの
が自然な流れである。

 しかし、上述の5千万円授受の問題は長引いていて、知事への疑惑
が深まる中、五輪開催都市のトップに立つ人材にはクリーンなイメ
ージが求められるのは必然で、都知事としては早急な引退が必要な
はずだ。

 と、ここまで書いてきた時に、電話がなり、「都知事が辞意を固め
た」との情報が入ってきた。(12月18日夜11:40)

 これによって、組織委員会づくりはスピードを上げることができ
るだろうか?JOC関係筋からの話だと、表面には出ないが、実質
的にJOCは独自に組織委員会の構想を策定して、東京都と話し合
いを進めてきており、その枠組みはほぼ固まっているとのことだ。

 とすれば、後は人材をポストに当てはめる作業だけが残るのだろ
うが実はこれが最も大変なところである。スポーツ界、都、政府が
それぞれの思惑で動き出すからだ。猪瀬都知事をこの人事抗争から
除外するのに、ここまでの時間がかかったとの見方もできる。

 問題は組織委員会作りを国を挙げてやるべき行事だと衆知が見て
いることである。五輪は世界最大のイベントであるが、その主催は
都市であり、それを監督するのはその国のNOCであり、IOCで
ある。

 五輪憲章の根本原則に「スポーツが社会の枠組みの中で行われる
ことを踏まえ、オリンピック・ムーブメントのスポーツ組織は、自
律の権利と義務を有する。その自律には、スポーツの規則を設け、
それを管理すること、また組織の構成と統治を決定し、いかなる外
部の影響も受けることなく選挙を実施する権利、さらに良好な統治
原則の適用を保証する責任が含まれる」として、autonomyすなわち
自律を原則としている。

 なぜ五輪が自律にこだわるかと言えば、オリンピズムがナショナ
リズムを超える運動体だからで、オリンピック運動に関わるあらゆ
る組織は、この自律、すなわち国家からの干渉を受けない組織であ
ることが根本中の根本なのである。

 当然、東京五輪組織委員会も政府からの干渉を受けない組織であ
り、いざとなれば、五輪運動のために政府の方針を変えさせるほど
の力を持っていなければならない。

 だから、今日本で行われている組織委員会づくりは、おかしいの
である。なぜおかしいかと言えば、JOCの力が不足しているから
に他ならない。事務局の心あるものは五輪運動の視点から調整を図
ろうとしているのだが、それを代表するトップが政府と喧嘩してま
で五輪運動を守り抜くほどの気概がないのである。

 1964年東京五輪組織委員会の会長、事務総長には、JOCの会長
(当時は委員長)と事務総長(当時は総務主事)が、そのまま、就
いた。「スポーツ界のこと、オリンピックのことを、素人の木っ端
役人に任せられるか!」が田畑総務主事の啖呵だった。かような人
物がいてこそ五輪運動は守られるのだ。

 今回の猪瀬都知事辞任の騒動により、五輪組織委員会の設立遅延
が生じたが、それは一重に知事だけの責任ではなく、組織委員会づ
くりを確固たるオリンピズムの信念に基づいて指導権を発揮できな
かったJOCにも責任がある。政府と闘いながら五輪主義を保持し
ていくのは至難の業かもしれないが、それをやることこそ五輪運動
なのだと踏ん張って欲しいものである。

 オリンピック運動には伝家の宝刀がある。それはオリンピズムで
ある。これを信仰できないところに五輪は来ないのだから。

                         (敬称略)

2013年12月19日  

                        明日香 羊         
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編集好奇
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 昨日18日昼過ぎ、ちょうど産経新聞で猪瀬都知事が理事会を外さ
れるという報道を読んでいたら、電話がテレビ朝日から入った。こ
の件のコメントを求められた。
 結局、その夜、六本木のテレ朝本社でインタビュー収録となり、
午後11時半過ぎ、このコラムを執筆していたら、電話。テレビ朝日
からで「猪瀬都知事が辞任」を知った。続けて、辞任についての電
話インタビューに切り替わった。
 めまぐるしい一日だった。
 今日の辞任会見の猪瀬知事を見て、彼を救えたのはオリンピック
だと思った。オリンピック組織委員会の設立期限がなければ、この
騒動は長引いていたはずだ。そしてもう帰還できない泥沼まで行っ
てしまったことだろう。
 その意味で猪瀬氏も五輪に魅せられた一人であったことは間違い
ないだろう。その心があればきっと彼にも救いがある。

 皆様のスポーツ思考に期待します。

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  考?ご期待
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