vol.303 首相の靖国参拝は反オリンピズム?

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 首相の靖国神社参拝は反オリンピズム?
 ~五輪憲章を哲学する その6~
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 去る12月26日安倍首相が靖国神社を参拝したことについて、権威
ある新聞、機関が批判している。米国ニューヨークタイムズは、
「危険なナショナリズム」とし、ユダヤ系団体「サイモン・ウィー
ゼンタール・センター」も「倫理に反する」と声明を発表した。

 9月7日アルゼンチンはブエノスアイレスでの五輪招致演説では、
「オリンピックムーブメントに帰依する」日本を自ら熱弁していた
安倍首相はオリンピズムの信望者であったはずだが、果たしてオリ
ンピズムは、安倍首相の靖国神社参拝をどう見るだろうか?

 明確に言えるのは五輪憲章が「宗教」による偏見、差別を厳しく否
定していることだ。憲章では「宗教」に五箇所で言及している。

 根本原則は第六項で「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基
づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピック・ムーブ
メントに属する事とは相容れない」としている。安倍首相が神道を信
ずることを否定しないが、安倍首相がその権威故に国民にその宗教を
強要することはこれを拒否する。

 第16条のIOC委員について定めたところでは、IOC委員に「いかなる
政治的または営利的な影響力、およびいかなる人種もしくは宗教上の
考えに左右されないこと、その他あらゆる形の差別と戦い、どのよう
な状況においてもIOC およびオリンピック・ムーブメントの利益を図
ること」を誓わせている。

 すなわちオリンピズムが自らの宗教すら超越している存在であるこ
とを誓約させているのである。東京五輪が2020年に開催されることが
決まり、その栄誉に浴する国の権威が戦争犯罪人として裁かれた人を
祀るところにお参りをすることは、オリンピズムの拒否するところと
なるであろう。

 もちろん東京裁判という戦勝国が敗戦国を裁くあり方とその結果に
ついては検証し洞察すべきところだろうが、しかし、1978年以降に、
その裁判についての論議が済まぬうちにA級戦犯とされた東条英機ら
をも合祀する宗教場に参るは、スポーツで平和を唱える五輪主義に相
反する行為とされても仕方がないだろう。靖国参拝を公務として行う
というのならば、東京裁判の非を主張し堂々とその討論の結果が出た
暁に行うべきであろう。

 戦争を始めたという事実は、スポーツによる平和を主張するオリン
ピズムには受け入れられない。

 オリンピズムが安倍首相に期待したのは、むしろ「私は東京五輪を
招致する活動を通じて、五輪精神を深く知るものとなりました。その
結果、武力によらず、スポーツによる平和構築の精神がいかに今後の
世界に重要か腑に落ちました。今後は、いかなる宗教的な権威に対し
てもこのオリンピックの哲学をもって対していきたいと思うのです」
という信仰告白であったはずだ。

 第27条で国内オリンピック委員会を規定する五輪憲章は、「 NOC
は自立性を保持しなければならず、オリンピック憲章の遵守を妨げる
可能性のある政治的、法的、宗教的、経済的圧力などを含む、あらゆ
る種類の圧力に抗しなければならない」と厳しい。日本オリンピック
委員会は、安倍首相の靖国参拝について、オリンピズムから堂々と諭
してしかるべきなのである。

 今回の東京五輪招致活動は、チームジャパンの勝利と言われている
が、果たして招致が成功裏に終了すれば、個々のお手柄合戦となり、
あげく組織委員会のトップも見えない状況を作っていった。招致活動
の時は俄「五輪主義」を装い、決まった途端に、本性を表すような輩
が余りにも多い気がする。

 猪瀬都知事は金銭で、そして安倍首相は宗教で。ということになる
とオリンピズムは東京五輪開催について異を唱えこともあるかもしれ
ない。なぜなら、今この世界は危機的な状況にあると思えるからだ。
かつてない中国、韓国との軋轢。北朝鮮の混沌。各地に紛争。今こそ
オリンピズムを主張し実践しなければならない。それもトップから。

 その意味で猪瀬都知事のIOCへの一生懸命や安倍首相のオリンピ
ックムーブメントに期待したのだ。東京五輪が本当のスポーツ平和構
築の祭典になることを。

 以上のように安倍首相の靖国参拝に、オリンピズムは赤点をつけざ
るを得ないだろう。

                         (敬称略)

2013年12月28日  

                        明日香 羊         
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                                  ────────<・・

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編集好奇
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 久しぶりに大好きなホテルで2日ばかりのんびりさせてもらいま
した。2日目の朝、部屋に届いたJapanTimesの一面に安倍総理靖国
参拝の記事。ジムに持ち込み、ウーキングしながら、読み込みまし
た。休みながらのスポーツ思考に。
 生まれた時はお宮参り(神道)、結婚式は教会で(クリスト教)、
そして死ねばお墓に入ります(仏教)。かような人の一生を見て、
この人は一体何の宗教を信じていたのでしょうか?となり、それに
日本教という答えを出したのが山本七平先生でした。
 だから靖国に拘る人々に私は余り関心を持ちませんでした。しか
し、世界平和、東京五輪という枠組みで捉えると違ったところが見
えてきました。
 本号の思考が参考になれば幸いです。

 皆様のスポーツ思考に期待します。

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  考?ご期待
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コメント

  • 痛快

    神に準ずるオリンピズムの絶対性の主張は、
    ちょっとプラトンのイデア論を聴くようで
    痛快でした。
    同じ古代ギリシアの精神文化ですから、
    通じているのは当然ですが。



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