vol.304 オリンピズムなき組織委員会づくり

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 オリンピズムなき組織委員会づくり
 ~五輪憲章を哲学する その7~
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 細川元首相が知事選に出馬することになったが、そのことについ
て五輪組織委会長に決まった森元首相が「五輪を人質にしている、
卑怯だ」などと批判していると言うを側聞し嘆きも極みにいたる。

 元々、五輪の組織委員会を設立する権利は、五輪開催都市のある国
の国内オリンピック委員会と開催都市に与えられている。「オリンピ
ック競技大会の組織は、IOCから、開催都市のある国のNOC および開
催都市自身に委任されるものである。当該NOCはこの目的のために組
織委員会(OCOG)の設立に責任を持つ...」(オリンピック憲章第35
条 JOC訳)

 しかし、日本では只管、政府がこの組織委員会の設立に関わろうと
してきて、日本オリンピック委員会の顔が見えなかった。本来ならば、
日本オリンピック委員会がかくなる理念を以って開催準備する五輪
組織委員会会長を指名し、事務総長指名し、組織委員会設立を宣言す
べきものである。ところが、五輪開催が東京に決定した直後から、森
元首相の組織委員会会長説が流布し、それに対抗する猪瀬都知事が五
輪憲章を知ってか知らずか「それは都とJOCが決めること」と反駁し、
チームニッポンも招致成功後はお山の対象争いの醜態を演じていた。

 JOCがしっかりしてほしいところだった。組織委員会設立はJOCの特
権であるのだから。

 その意味で、森氏が細川氏の都知事出馬に「東京五輪を人質」と言
うのは当たらない。誰であれ都民が選んだ人が、都知事であり、その
都が開催する五輪に都知事が関与するのは当然だからである。むしろ、
争点は、これから都知事になる人が、どれだけ五輪に尽くせるのか、
五輪精神に基づいた都政を営めるのか、それが五輪精神の立場からは
肝要なのである。オリンピック都市というものはそういうものでなけ
ればならない。

 だから、1984年の冬季五輪開催都市サラエボが、民族紛争という五
輪精神に真っ向から反対する主義に破壊されんとした時、五輪の精神
は立ち上がったのだ。あのサマランチ会長自身も戦火のサラエボを訪
れているのだ。

 イスタンブールでの昨年9月7日。プレゼンテーションに登場した安
倍首相は「福島の原発は東京には影響しない」と言った。しかし同時
に、福島の問題を五輪とともに解決していく姿勢を見せた。だからこ
そ、IOCは納得したのだ。であれば、脱原発の思想も五輪開催の理念と
矛盾するものでないと考慮の範囲には受け止めるべきであろう。そう
でない限り、安倍首相は福島を括弧でくくって東京五輪を招致したこ
とになってしまう。

 私が最も懸念するのが、五輪憲章の精神を全うする気概が、組織委
員会会長にあるかどうかだ。五輪運動だけが人類に残された「武力な
き平和」実現の唯一のツールであるならばそのことに心を寄せてもら
いたい。

五輪と言うと金メダル。「下村文科相は早くも東京五輪のメダル数の

皮算用をしていますが、五輪のメダル数もIOCの精神からいえば国
別で競争するものではないはずです」との賢者の言葉。まさにそのと
おり。五輪憲章第57条「入賞者名簿」では、国別メダルリスト作成を
禁じている。「IOCとOCOG は、いかなる国別の世界ランキング表も作
成してはならない。。。」(JOC訳)

 五輪精神は端的に言えばナショナリズム(国家主義)の否定である。
選手が自らの努力によって得た栄誉は選手自身に帰するのであって国
に帰するのではない。これが基本理念である。それによって世界平和
へのまなざしが見えるのだ。だから、五輪開催となり、東京五輪では
金メダルをいくつとるぞう!は五輪精神の関わらぬところだ、

 招致前にはオリンピックムーブメントへの帰依を誓った人々が、招
致成功後に本性を表す。まさに五輪哲学なき五輪開催が演じられよう
としているのである。

 今、都知事選は原発が争点となりそうだが、むしろ、五輪主義を争
点として争ってもらいたいと思う私である。

 因みに細川夫人はスペシャルオリンピック(知的障害五輪)に関わっ
ているそうだ。オリンピックはどれだけ五輪運動に貢献できるか?そ
れだけで裁く。そのことを森会長も肝に銘ずるべきだろう。五輪運動
は道楽ではできない。

                          (敬称略)

2014年1月15日  

                        明日香 羊         
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                                  ────────<・・

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編集好奇
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 森元総理が東京五輪組織委員会会長となった。果たしてスポーツ
界からの登場と見るべきか、政治がスポーツに負けたのか?
 リトマス試験紙はオリンピズムだ。
 残念ながら森さんは細川さんの都知事選出馬に「原発を持ち出す
なんていうのは卑怯」と言って、逆に五輪を人質にとった感がある。
 とかくスポーツ界の人事は適所適材と行かない。
 少なくとも五輪哲学への従順はほしいところである。
 明日の日刊ゲンダイにかくなるテーマについて、小生のコメント
が掲載されます。
 本誌とともに皆様のスポーツ思考の糧にしていただければ幸いで
す。

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  考?ご期待
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 (1998年からの400号を目指して)

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コメント

  • 辛口の論評

    この国の民主主義は、明治の自由民権以来
    まだ、党派というものは民主主義を維持していく上での力学的方便に過ぎず、
    その上に個人の人格(人物または品格)、更にその上に個人を超えた人類の理念が
    ある ということに気づいていないようですね。
    オリンピズムというのは、思うにこの人類の理念に属するもので、ここで森が何た
    ら総裁になったからとか どうとかで一言のたまったところで、
    全く次元違いのことなのだと知るべきですね。
    そういうことを想起させる、辛口の論評、ありがとうございました。



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