誰が東京五輪を開くのか?~オリンピズムなき新国立競技場論争~

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誰が東京五輪を開くのか?
 ~オリンピズムなき新国立競技場論争~


 昨夜(2015年7月22日)テレビ朝日の報道ステーションで舛添要
一都知事が新国立競技場問題で登場。無限の「無責任体制」を批判
しているのをたまたまであるが見た。「このような結果になった責
任を誰に問うても皆逃げる」と自ら解説している。

 状況はまさにそうであるが、しかし傾聴すればするほど疑問が沸
いて出た。一体、五輪を開催するのはどの都市なのか?その五輪の
象徴的仕事「開会式」を催すメインスタジアムは根本的に重要なの
ではないのか?五輪開催都市のトップこそそのことに責任があるの
ではないのか?

 天に唾する、あるいはマッチポンプ?都知事の話を聞けば聞くほ
ど気持ちが悪くなった。それは私のオリンピズム感覚というものが
そうさせていたのだと思う。論点が完璧にずれているのに、堂々と
自論を正論のように語ることへの拒否反応だったのかも知れない。

 都知事が五輪の根本を全く理解していないとしか思えなかったか
らである。五輪開催計画とその準備に責任を持つのが、第一義的に
開催都市であることをすっかり忘却しているとしか思えない。

 五輪開催の責任は東京都にある。五輪を招致したのもその開催準
備に当たるのも東京都である。オリンピックの栄えある都市に選ば
れた時点で東京はオリンピックシティーとしての使命を果たしてい
かなければならない。そのひとつに五輪の重要な要素である開会式
会場になるメインスタジアム建設が含まれている。そのスタジアム
建設について、日本スポーツの殿堂である国立霞ヶ丘陸上競技場を
破壊してまで、新たな聖地を作ろうとしたその意思は東京都のもの
であり、国の保証が必要な事とはいえ、その主体はあくまでも東京
都である。

 にもかかわらず、新国立競技場デザイン選定の主体となったJS
Cや招致委員会そしてその権利と義務を引き継いだ組織委員会にす
べての責任があったかのように非難している。招致したのは前知事
で私ではない。前知事のプランはことごとく見直し、「私の」五輪
にするのだ!と言わんばかり。しかし、国際公約云々以上に五輪都
市が従順でなければならない五輪憲章に鑑みれば、都が五輪組織委
員会を非難することありえない話である。

 それならば組織委員会のトップがこの問題をどう考えているか?
と思うところ、会長である森喜朗元首相が昨日22日に日本記者クラ
ブで会見して、新国立競技場建設計画白紙撤回について、「私は大
変迷惑している。競技場を組織委員会が造るわけでもなければ、こ
うしてくれ、ああしてくれと言ったわけでも何でもない。どういう
ものを造ろうと、組織委員会には関係ない。やる資格も発言権もな
い」と開陳しているではないか。

 まさに無限の無責任体制が東京五輪を開催しようとしている。

 組織委員会が五輪開催の準備と運営に関わる全てを背負うのは当
然であり、その中心となる東京都がその責務を有するのは当然。当
事者能力を有する重鎮二人がまるで他人事のようなコメントを堂々
と述べるのを聞けば吐き気を覚えても仕方ない。

 お互いに協調して五輪に当たるということこそ五輪の求めるモラ
ルのひとつであるはずだろう。

 一連の動向を静観しているとやはりホストNOCである日本オリ
ンピック委員会のリーダーシップの不在を嘆かざるを得ない。招致
で公約したことをIOCとともに100%実現しようとするのがホ
ストNOCとしての使命であり、そのためにかような問題があれば、
組織委員会、ホストシティーのあるべき姿を指導すべきなのである。

 舛添を持ち上げてキャスターの古館が社会福祉に明るい知事が五
輪に福祉の華を咲かせることを祈っていたが、お門違いも甚だしい。
プロレスは分かっても五輪は分からないらしい。五輪運動そのもの
が社会貢献活動であり、その最終目的はスポーツによる世界平和の
実現である。

 この世界平和の実現が2020年東京五輪にとって今後の五輪運動を
見極めるひとつの大きな試金石になると見ている私にとって、福祉
という枠内に五輪を収めようとしている有様は第一線のメディアと
思えない。残念である。

 今東京五輪に関わるトップが五輪運動からではなく自分から五輪
を開催しようとしている。これは国際オリンピック委員会創始から
守り続けてきたスポーツが政治に妥協しない姿勢が薄れてきたこと
に起因する。五輪存亡の危機に対してIOC会長バッハが提言した
アジェンダ2020は五輪の複数都市での開催や国境を越えた共同
開催まで譲歩しても五輪開催の継続性を重視している。

 しかし、それはあくまでも五輪運動が大前提でなければならず、
東京が本当の五輪都市になる機会、日本政府が五輪運動に寄与する
機会、そして日本の人々が五輪運動の本当を知る機会を創出し続け
るものでなければならないのである。
                        (敬称略)

2015年7月23日  

                       明日香 羊        
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編集好奇
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 建築アナリストの森山高至氏が7月18日の日刊ゲンダイで、
破壊した国立競技場(霞ヶ丘陸上競技場)を復元するの論を展
開している。示唆的です。次号で取り上げたいと思います。
 
 皆様のスポーツ思考も期待します。
                         春日良一

追伸:

 時事問題を短文でスポーツ思考したスポーツ思考録を
回顧しながら、現代批判を試みる「スポーツ思考回顧録
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コメント

  • 全く同感

    オリンピック開催の名誉と責任は、第一義的には開催都市に属するもの
    ではなかったのか?
    そんなことさえ忘れているのか?
    昔から政治家というのは、大部分が、自分の腹を痛めて生んだものではない事業は
    継子扱いするという風習があるが、これは舛添にではなく、東京都に与えられた使命
    なのだから、それを継承発展させて成功に導くのが東京都知事なるものの腕の見せ所
    なのではないか?
    しかも日本人はいまだに、責任という物が個々の人物や個々の団体に属するとでも
    思っているのか?「連帯責任」という言葉や「連座」という言葉、あるいは「腹を切る」

    とまではいわないが、そうした卑怯を忌み嫌う伝統があるはずなのに、いつからこんな

    責任放棄の子供みたいな民族に成り下がったのか?
    安藤、舛添、森、遠藤、下村、竹田。たったこれだけの人物の誰にも個々の責任は
    仮にないとしても、連帯責任は明白にあるのだから、阿倍首相は全員に再招集をかけても
    コントロール下に置くべきなのではないか?原発だけではなく、こちらの方もnot
    under controled
    なのだから。

    こんな年齢の人たちまでもこのていたらくなのだから、日本の精神文化のメルト・ダウンは
    相当深刻であると言わざるをえない。
    責任を担って中枢を支える、骨も筋肉も神経も血管もない。
    同様なことは、今地方都市の行政や会社企業の内部にも起こっていて、マスコミにも
    デモクラシィにも何らの抗菌力も免疫力も自浄力もない。
    オリンピズムはこの面からも、民族の健康と病を見抜く試金石となっている。



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