日本オリンピック委員会の使命~新国立競技場と大会エンブレム~
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週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.339
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Sport Philosophy
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日本オリンピック委員会の使命
~新国立競技場と大会エンブレム~
読者の方から「新国立競技場デザインの白紙撤回、大会エンブレ
ムの似すぎ問題など。JOCは何をしているんですか?貴方がJOC
にいればこんな問題は起きなかったでしょう」というメールをいた
だいた。
真剣に考えた。私が今JOCの国際業務部参事であったらどうし
たか?まず、新国立競技場建設について。もともと1964年の東京五
輪の開会式となった国立霞ヶ丘陸上競技場を壊すという選択肢はな
かった。同五輪が日本のスポーツ界に残した歴史と遺産を考察すれ
ばありえない話だからだ。これについては何度もスポーツ思考して
いる。が、もし新国立競技場建設白紙撤回前の段階から思考すると
すればどうか?
多くの識者やメディアが論じている最大の論点は建築が間に合わ
ない、予算が倍になったの二点。どちらも論点がずれている。政府
や都や組織委員会の論点がずれているのと同じようにずれている。
このような問題が起きた時のスポーツ評論家と言われる識者や専門
のスポーツジャーナリストの思考は常識に陥る。五輪のことは、オ
リンピズムから考えなければならない。
単純に招致での公約は守らなければならない。実現段階で現実と
妥協しなければならない場面でも究極的に守らなければならない。
故にデザインの修正はあっても白紙撤回はありえない。工期との関
係で妥協が生じたとしてもそれは元々の理念を現実化するための協
調と理解できる。
次に費用問題。招致段階の最大のアピールのひとつであったザハ
デザインの国立競技場の建設予算が1300億円から2520億円となった。
どちらも庶民には天文学的数字だが、日本の防衛費は約500億ドルで
ある。円ではなくてドルである。
オリンピックは何のために存在するのか?端的にスポーツによる
世界平和構築である。もしこれがなければ唯のスポーツの祭典で終
わる。今、安保法案が議論を呼んでいるが、日本国憲法第9条を堅守
して世界平和を標榜しつつ、日本国を戦争から守る方法があるとす
れば、それは何だろうか?
1964年東京五輪が多くの日本人の心に残したものは、スポーツは
平和を作りうるという理想論である。その理想論はその後数々の試
練を受けるものの脈々とオリンピックを支えている。1972年ミュン
ヘン五輪の選手村襲撃事件、1980年モスクワ五輪の西側諸国ボイコ
ットなど政治にスポーツが支配される現象が起きた。五輪がどうや
って世界平和構築に貢献できるのか?オリンピズム崩壊の危機は何
度も訪れた。
しかし、オリンピックがスポーツで平和を唱える限りにおいて、
戦下のこどもたちが戦士よりも選手を選ぶ選択肢があり、政治家が
軍事よりも五輪を選ぶ選択肢が提供されるのである。1964年以降の
日本は経済成長を加速させ、平和で豊かな国を実現した。しかし、
それは実にパクス・アメリカーナ(アメリカ帝国傘下の元の平和)
の中での相対的な実現であった。その後のソ連のアフガニスタン侵
攻への抗議として西側諸国のモスクワボイコットが起こり、オリン
ピックの実現できる平和の限界を示した、しかしオリンピズムは諦
めなかった。オリンピック休戦をサマランチIOC会長が唱えた時、
五輪都市サラエボは民族主義の戦火にあった。
2020年東京五輪が果たすべき役割はまさに混迷を深める世界の中
にスポーツで平和構築の理想を実現することである。1964年当時の
冷戦体制は崩壊し、ナショナリズムとレイシャリズムが混沌とする
世界情勢は益々複雑化している。かような状況を超克するために、
戦争放棄を唱える憲法を有する国の都市で開催されるスポーツの祭
典に世界中の人々が賛同し、各国国家元首がオリンピズムへの信条
を吐露する場を創ることが、2020年の東京五輪が果たさなければな
らない役割である。
世界平和構築のために軍備を整えるだけの資金を五輪に投じる覚
悟が必要だ。なぜなら五輪はそのために存在するからである。スポ
ーツがただ健康のためにあるだけならば、それまでである。経済的
に政治的に安定した環境で楽しむスポーツを展開すれば足りる。し
かし時代はそれほど悠長ではない。
日本を平和国家にすることを求めるならば、日本国民の安全を求
めるのならば、別の道がある。五輪開会式はそのための有効な手段
である。その開会式のセレモニー会場となる国立競技場への建設費
は防衛費の二百分の一で済む。オリンピズムから考えれば、建設白
紙撤回はないのである。むしろ防衛費相当の予算を費やして理想の
五輪を開催することが求められていることだろう。
私がJOCにいたら、これらの理念の下に、上はJOC会長を説
得し、外はIOC会長に談判し、あげく日本政府を動かすであろう。
それがオリンピック運動に携わるということであり、日本で唯一つ
の国内オリンピック委員会が果たすべき使命なのである。
逆に大会エンブレムについては、異議が提訴されそうならば、白
紙撤回。改めて公募するべきである。盗作ではないとしても東京五
輪を唯一無二の大会にしたいのならばそうすべきである。
森組織委員会会長が8月10日に「瑕疵のない手続きをきちっとし
ている。・・・自信を持ってこれからも使っていきたい」と語った
そうだが、相変わらずの「自分は正しいことをしている」論は、こ
の場合、適切な判断に到らない。本当に2020年東京五輪を愛してい
るかどうかの問題だ。愛しているのならば、ベルギーの劇場のロゴ
と同じものを敢えて採用する必要はないからだ。
「美術、芸術関係のきわめて卓越した人たちが決めたものであり、
盗作、偽作ならその時点で(問題が)出てきたはず」とも語ってい
る。新国立競技場デザイン選定も卓越した人たちが決めたものであ
ったはずである。オリンピックの視座から見れば、まさに白が黒で
あり、黒が白である。
ことほどさように東京五輪はオリンピズムを喪失しつつある。
まさに警鐘を鳴らし続けなければならない所以である。そしてそれ
はJOCが本来「監理」すべき使命なのである。
(敬称略)
2015年8月12日
明日香 羊 ------- ────────<・・
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編集好奇
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建築アナリストの森山高至氏の国立競技場復元の案を飛び越えて
オリンピズムからこの問題を見てしまいました。五輪招致段階から
五輪はお金がかかるという意見が囁かれました。
今お昼時です。手元に1000円があります。ランチに行こうとした
瞬間に「このお金を今この募金箱に入れたら確実に世界平和が築く
ことができる」と言われたら、あなたはどうしますか?
皆様のスポーツ思考も期待します。
春日良一
追伸:
時事問題を短文でスポーツ思考したスポーツ思考録を
回顧しながら、現代批判を試みる「スポーツ思考回顧録
Retrospectivity of Sport Philisophy」を始めました。
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考?ご期待
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次号はvol.340です。
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