負の遺産を救うものは何か?~長野五輪のスパイラル~

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週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.367
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負の遺産を救うものは何か?
~長野五輪のスパイラル~

 一カ月前、長野に旅立った。テレビ東京の番組のロケである。
特番「池上彰のご当地ウラ情報」で長野五輪の負の遺産を取り上
げる企画に呼ばれた。長野五輪をもぎ取った男と言われて4年に
なる。ナガノオリンピックを招いた結果、今、長野が負のレガシ
ー(遺産)を抱えていることに私がどう答えるのか?それがポイ
ントだったのだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=wqVY12_YWNc&feature=youtu.be&t=2h59m55s

 しかし、私には自分が経験し、知っている事実を述べる以外に
できることはない。長野五輪が残した負の遺産は、ボブスレー、
リュージュの会場であったスパイラルである!という視点にも、
その時の事情?!を答えるしかない。

 長野に冬の五輪を招致する大義名分は様々考えられた。そして
世界平和や人類の調和、そして自然との調和が唱えられた。しか
し、それはスポーツを超えたところで語られる奇麗ごとに過ぎな
い。招致で勝つためには、投票権を持つ国際オリンピック委員会
(IOC)の委員の賛同を得なければならず、それは、スポーツ
が最も重要な人類の財産であるということを真摯に思う人たちへ
のアピールであるということ。そこが肝心である。

 1998年冬季五輪を決めるIOC総会でのプレゼンテーション。そ
れは1991年6月15日、英国はバーミンガムの国際会議場で行われ
た。幸か不幸か、長野のプレゼンテーションは、6立候補都市中
の5番目、強力なライバルと見られたソルトレークシティーの直
前となっていた。ソルトレークシティー以外のプレゼンを全て見
ることができた。日本オリンピック委員会(JOC)国際委員会
メンバーで情報収集チームを作り、その結果を現地招致本部で分
析、長野のプレゼンに修正を加えた。
 
 逐次メンバーからの情報が入る。そして対策本部では、その情
報を参考に直前まで「何が必要か?」を練りあげた。

 結果、プレゼン直前にナガノ五輪招致の唯一の欠点が見えた。
それは「アジアの同胞への共感」がないことであった。そして、
急遽、焦点としたのが、アジアの冬季スポーツの拠点である長野
のステータスであった。1986年からスタートさせた冬季アジ
ア競技大会はまさにJOCのリーダーシップでアジアに冬季スポ
ーツを発展させようという意志の実現であったし、その功績につ
いてはアジアのスポーツ仲間たちの誰もが認めるところだった。

 それを基盤に、今、長野がオリンピックを通じて、アジアの冬
季スポーツの拠点であるウィンタースポーツセンターとなること
をアピールし、そのための基金を作ることを宣言すれば大きなイ
ンパクトになる。それによってこれまで恩恵を受けてきたアジア
のスポーツ仲間たちの賛同を得、他の大陸のIOC委員には、日
本の冬季スポーツへの貢献が刻印される。

 長野が招致を勝ち取った理由は数々あれど、この冬季スポーツ
のアジア拠点構想と基金創設は、プレゼンテーションにおける大
きな勝ち点であったはずだ。

 長野が第18回オリンピック冬季競技大会の開催都市に決定し
てから、この公約を果たすために、会場を建設していく、アジア
・オセアニアの冬季競技振興センターとしての役割を果たすため
全ての会場は「常設」が不文律であった。オリンピック開催後の
後利用については、当時からIOCへの回答が必要であったが、
それはこのアジア、オセアニア地域のそれぞれの競技普及振興と
いう概念的なテーゼで説明していた。

 現実に長野市内に建設されたそれぞれの会場は、総合市民体育
館や総合市民プールとして市民のための施設として有効利用され
たり、冬はアイスホッケー、スピードスケート、フィギュアの会
場となり、夏はイベント会場として利用されている。その中で冬
にしか利用されない施設がボブスレー、リュージュの会場「スパ
イラル」なのである。

 招致段階からスパイラルの五輪後有効活用はそれこそ冬季五輪
の普及拠点以外のアイデアが生まれなかった。当時の大会組織委
員会重鎮が会場を眺めながら、「夏は巨大流しソーメンしかない
かねぇ」と寂しそうに語ったという。

 ボブスレー、リュージュ競技の発展普及。ここにしか負のスパ
イラルを突き抜ける方策はないのではないか?来年行われる平昌
冬季五輪のボブスレー、リュージュ、スケルトン会場は竣工した。
長野が果たすべきであったアジア冬季競技振興スポーツセンター
は平昌に移っても不思議ではない。さらに2022年には北京で
冬季五輪が開催される。アジアに冬季スポーツの拠点が次々とで
きることになる。

 であれば、長野―平昌―北京、アジアのスポーツの三大スポー
ツ国が冬季アジア競技をサーキットする新たなプランが考えられ
るのではないか?それこそかつてのJOCが発案した冬のスポー
ツをアジアでも普及するという夢を実現するモーメントになるの
ではないか?そして、さらに政治的には微妙な関係を続けている
日本、韓国、中国のスポーツ交流からの関係改善への一歩になる
のではないか?

 IOCは本年2月21日に一年前にリレハンメルユース五輪が
修了した日であることを伝え、その中で、いかにこのユース五輪
がオリンピックを伝え、オリンピックの未来を紡ぐ素晴らしい大
会であったかを表明した。

 リレハンメル冬季ユース五輪は約2百4万ドルの収益を残し、
それをリレハンメル遺産センター、若人ボラテンィア基金、健康
食ワークショップ、若人競技大会そして若人ボランティア大会に
資した。この収益には政府保証も含まれるが、ユース大会が五輪
の後利用として有効であることを伝えている。

 ロケで長野を訪れた翌日、私は一人、大会当時アクアウィング
と称されアイスホッケー競技の会場だった施設を訪れた。長野駅
から長野電鉄に乗り、朝陽駅で下車、駅員さんにアクアウィング
までの道のりを聞いた。五輪時の盛況を想像するのは難しいほど
寂れた感じがした。バイパス374号をかなり歩いていくと右手
に五輪のシンボルが見えてくる。やっと知己の人に会えた気がす
る。

 しかし、アクアウィングはなんとプールに代わっていた。許可
を得て、中にはいれば、そこは50メートルプールと飛込プール
もあるりっぱな屋内プールだった!地元の小学生たちがレッスン
を受けている。飛込みはチーム練習が行われていた。子どもたち
の歓声がスポーツを感じさせた。

 アクアウィングから帰りは「しなの鉄道」北長野駅まで歩く。
道すがら私は胸が痛んだ。確かに施設は有効活用されていた。し
かし、そこに五輪を感じることができなかった。19年前の長野
五輪の熱狂と感動が信濃の風とともに通り過ぎてしまったのだろ
うか?

 街頭インタビューでは長野五輪を経験した人々の多くは、スパ
イラルの存続を願っている。本年1月13日に長野市長が鈴木ス
ポーツ庁長官を訪問し、存続のための国による財政負担を要望し
た。鈴木長官は、ナショナルトレーニングセンター(NTC)競
技別強化拠点施設の現在の指定が韓国・平昌(ピョンチャン)五
輪後の2018年3月に切れた後も、市が希望すればNTCに指
定する考えを表明した。(信濃毎日新聞2017年2月14日)その維持
費は年間3億円とも言われ、これまでそのほぼ半額が国から支援
されてきた。

 長野五輪の遺産を残すというのはただ施設を残すことではなく
て、そこに五輪の歴史があることを残すことでなければならない。
スポーツで平和な世界を作るという思想を実現しようとした場が
そこにあったことを語り継がなければならない。そのような努力
が過去19年間なされきたのだろうか?

 オリンピックのレガシーが声高に叫ばれる中、引き継がれるべ
きオリンピックの「心の歴史」に目を向けたあり方が重要なので
はないか?

 五輪開催当時にボブスレー・リュージュ会場について伝える信
濃毎日新聞は、「今後、周辺を公園として整備、五輪後は競技施
設、レジャー施設として活用する。夏季に滑車で滑る乗り物を取
り入れることも検討している」としている。

 長野オリンピックパークとして、スパイラルを盛り上げる方向
があるのではないか?そのための努力をすることは長野市民にと
って現在を未来に繋げ、世界に繋げる日常を作ることになるので
はないのか。

 北長野駅への長い道のりが終わる頃、夕陽が沈もうとしていた。
信州の強烈な寒さが私をつんざいた。駅のホームの向こう側には
小さな公園があり、そこでお父さんとサッカーを楽しむ男の子の
兄弟がいた。この寒さの中にキャーキャーと只管ボールを追いか
ける三人がいた。

 どんな場もスポーツがあるだけで、光明がある。

 負のスパイラルを成功のスパイラルに変えるヒントは、まさに
五輪そのものの中にあるのではないか。

 寒空の下、ボールを嬉々として追う男子を見てそう思った。ま
さにそれは40年前の自分の姿であった。

(敬称略)

2017年4月1日

明日香 羊
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aquawing

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編集好奇
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いろいろなTV番組に出させていただきましたが、
長野冬季五輪のスパイラルについては弱みでした。
しかし、紐解けば、まさにそのスポーツ的なアプ
ローチに救いがありました。

長野ユース冬季五輪!
あると思います。

皆様のスポーツ思考を期しつつ

春日良一

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考?ご期待
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次号はvol.368です。
(1998年からの400号を目指して あと33思考?!)

スポーツ思考
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