金正恩「新年の辞」の心 ~平和への道~

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金正恩「新年の辞」の心
~平和への道~

金正恩朝鮮労働党委員長は本日1月8日に誕生日を迎え34歳に
なった。34歳を自分に置き換えれば日本体育協会職員から日本
オリンピック委員会(JOC)職員になるちょうど過渡期に当たり、1990
年の国際オリンピック委員会(IOC)総会準備に本腰を入れ始めた
頃であり、同時に体協国際部渉外担当として、二国間交流協定締
結のため東独、ソ連そしてハンガリーを歴訪した年齢である。

一国の元首との対比には無理があるが、冷戦構造崩壊からの立て
直しの時期に各国と渡り合った我が34歳の体験は、金正恩が大国
アメリカを筆頭とする列強に立ち向かう気概と使命感を有している
ことを察するに疎くない。彼はまさに自信とエネルギーにみなぎって
いるだろうし、自分以外の存在を凌駕することになんの躊躇もない
だろう。

その金正恩が年頭に「新年の辞」で平昌五輪への北朝鮮代表団
派遣の用意と南北対話の可能性を表明した。政治的に見れば、
国際的制裁が強まる中で、五輪を利用して対話の機会を設け、五
輪参加と制裁緩和の取引を行う魂胆が垣間見られると言われ、彼
の弱腰を推察する向きもあるが、むしろ五輪の平和志向に自らを
寄せることで、五輪に構わず合同演習を続ける米韓の矛盾を鮮明
に浮かび上がらせる巧みな政治手腕である。

しかしこのこともスポーツ思考から見れば、五輪の果たすべき人類
の友好に軍事志向の金正恩の心を引き寄せたスポーツ外交の成
果の証と捉えるところだ。

2015年12月の南北次官級会談以来、門戸が閉ざされた交渉に一
筋の灯が見えたのは紛れもない事実である。そこを捉えて一挙に対
話外交路線への転換に持っていければ、五輪が現在の緊迫した世
界情勢の緩和に貢献することになる。

文在寅韓国大統領は就任直ぐに「平昌五輪での統一コリアの実現」
への希望を表明し、それにIOC会長も賛同したが、北朝鮮のIOC委
員であるチャン・ウンはそれを否定的に解説した。「それは理想だが、
統一チームには莫大な時間が必要である」と。

このチャン・ウンは国際スポーツ界では重鎮であり、「竹のカーテン」
が敷かれた北朝鮮とのスポーツ交流には欠かせない人物であった。
バスケットボール選手として活躍し、後に指導者となるが、国内オリ
ンピック委員会(NOC)の事務総長を長年務め、その中でスポーツ
の国際会議に北朝鮮代表として参加し実績を重ねた。中でも、
1991年世界卓球選手権で時の国際卓球連盟会長の荻村伊智朗
が主導した統一コリアチーム参加の実現は、北朝鮮側のカウンター
パートとして、チャンがいたことが奏功したと言わざるを得ない。

私自身は個人的にはそれほど親しい関係にはなかったが、北朝鮮
と連絡を取るとなれば、交渉相手としてチャン以外には思い浮かば
なかったし、荻村がJOC国際委員長として提唱し実現させた東アジ
アNOC会議にもチャンの賛同が不可欠であった。1994年の第二回
東アジア会議は平壌で実現している。

2000年シドニー五輪開会式での南北朝鮮合同入場行進実現のた
めの北朝鮮側の代表としても尽力したチャン・ウンはIOC委員に1996
年に就任している。この交渉はIOC委員として是非とも実現させる使
命を持って臨んでいたはずであり、その彼が文大統領提案に否定
的なコメントを評したことを見て私は、北朝鮮の実情の厳しさを慮った。

金正恩政権に配慮して彼は発言を慎重にしていると思わざるを得な
かった。昨年9月のIOC総会時には平昌五輪の安全を聞かれて「ス
ポーツマンとしては期待するが、誰にもわからない」とスポーツと政治
を分けた発言もしていた。

しかし、一方でIOC会長の北朝鮮の平昌五輪参加への積極的発言
が続いていたのを見て、水面下でなんらかの動きが続けられている
と期待していた。この機会以外に今の国際情勢、特に極東情勢を打
開するチャンスはないのではないかと思っていたので、もし展望が
開けないようであれば、バッハIOC会長への直言も考えていた。

そこに金委員長の「新年の辞」である。

Chang Ung

チャン・ウンがIOC委員として、北朝鮮政府への働きかけを諦めてい
なかった結果であると見る。彼はスポーツと政治に関する著書もあり
オリンピック運動の何たるかに心を寄せている人物の一人だ。その
彼が今年一杯で終わるIOCのミッションの最後をきちんと締めくくり
たいと思うのは必定と思う。

そもそもIOC委員というのは、国(あるいはNOC)を代表して、IOCに
出席しているのではない。IOC委員はIOCからオリンピズム実現の
ミッションをもって派遣されたオリンピック大使なのだ。
そのことをチャン・ウンは心の奥底に秘めている。

人間は使命を意識した時、勇者になる。かつての私も冷戦後の東
欧圏とのスポーツ外交に使命をいだいていた。それはその先に世
界平和の道のりが見えたからだ。同様に、金委員長が平昌五輪へ
の参加を仄めかしたことは、彼が軍事のみの戦略に限界を感じて
いる証であり、彼がその使命を世界平和への道のりに置き始めた
印ではないかと期待したい。

明日の南北会談の結果を待つ。

(敬称略)

2018年1月8日

明日香 羊
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編集好奇
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新年おめでとうございます!
今年は波乱の幕開け。金正恩の新年の辞は五輪の存在を無視
できないことを表しています。

1月6日、まさにこの問題を語る好機をテレビにいただきましたが、
星野仙一氏の訃報で延期になりました。

昨年末は、野村夫人の急逝ニュースで、没になったばかり。球界
の力はIOCよりも強し、でしょうか?!

今年もよろしくお願いします。

春日良一

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考?ご期待
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次号はvol.376です。
(1998年からの400号を目指して あと25思考?!)

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