バッハの最期の一刀 〜年齢制限の逆手切り〜

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バッハの最期の一刀
〜年齢制限の逆手切り〜

9月15日に候補者届出が締め切られた国際オリンピック委員会(IOC)会長選挙の行く末を私は9月20日発売の日刊ゲンダイ9月21号に特別寄稿した。恐らく裏表紙トップを飾る渾身のコラムだったが、スーパースター大谷翔平が51−51を達成し、「初の」50−50クラブを創設した彼の偉業が掲載紙の表も裏も飾った。完敗?!である。

しかしコラムの内容はまさにこれからIOCに起こるだろう「初の」歴史的事件を予見するものであった。五輪史上「初の」女性会長、「初の」アフリカ出身会長、「初の」アジア出身会長、そして「初の」親子二代会長が誕生する可能性がある。以上の「初の」会長になる可能性のある候補者は7名の内の4名であってみれば、かなりの高い確率ではないか?

私の予見についてはゲンダイデジタルで無料で読めるので、そちらをご高覧いただきたい。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/360853
本稿では次期会長選出に何がポイントか?もっとも基本的でありそれゆえにこそもっとも忘れてしまうことについて述べよう。

立候補締め切り直前に全IOC委員に供覧された2枚ものの潘基文書簡がこの問題を解く鍵である。潘は前国連事務総長で現在はIOC倫理委員長を務める。会長選挙に伴う選挙方法や倫理的要綱の詳細は既に周知徹底されていた。にもかかわらず敢えてこの文書が配布されたことの意味は大きいと考える。

その書簡の主な内容は8年の任期と延長した場合のさらに4年の任期について言及することであり、任期にある時に候補者がオリンピック憲章の定める年齢制限(定年制)に抵触しないかどうかを留意するように改めて告げているのだ。それは警鐘とも取れる。

バッハ会長の続投を望む声に対して、渡辺守成(国際体操連盟会長)はIOC総会の席ではっきりと反対し、規定を守ることが大事だとバッハを婉曲に諭した。その刀が今、潘文書によって渡辺にも向けられたのだ。彼はすでに65歳。最初の8年目には定年延長の特例を使わなければならない。

バッハは年齢によってオリンピック運動のトップの地位を降りることを余儀なくされたが、その返り血で渡辺に自重を迫ったと見える。潘文書はバッハの最期の一刀なのだ。この刀はこのところバッハ体制に反旗を翻してきたセバスチャン・コー(世界陸連会長)も切ることができるし、サマランチ(Jr.)も例外ではない。

IOC会長選挙 コベントリー  Coventry IOC

その先に見えるのは唯一の女性候補で41歳の若きカースティ・コベントリーの姿だ。彼女はバッハと同様にオリンピック金メダリストであり、選手を代表する会長となれる。選手委員長としてコロナ禍のバッハ体制で選手の意見をまとめることに大きな貢献をしている。彼女が会長となれば、男女平等参加を完璧に実現したパリ五輪を誇るバッハの路線の集大成となるだろう。そして2026年ダッカで行われるユースオリンピックは初のアフリカ大陸での五輪とも言える。初のアフリカ出身の初の女性会長が主催するに相応しい大会となるだろう。

しかし、IOC会長にはコロナのパンデミック、ロシアの五輪休戦破り、イスラエルの休戦無視行為、そして国連との連動など国際政治にスポーツポリティクスを展開していくことが求められる。大丈夫か?

答えは「イエス」である。バッハが全面的な支援を約束するだろう。それは現在のIOCマジョリティを味方につけているのと同じである。

私の予言は以上だ。スポーツ思考あるものにはIOC会長選出の秘儀も見えたことだろう。

(敬称略)

2024年9月27日

明日香 羊
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編集好奇
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ドラマ将軍がエミー賞を総なめにしたとかで盛り上がっているが、1980年の三船敏郎の将軍を見たものにとっては、二番煎じの感が否めない。歴史的検証、日本の伝統文化の視点など真摯に取り組んだと意気込んでいるが、それは三船が国際スターとなって世界の強豪たちと渡り合ってやってきたことの敷衍に過ぎない。あたかも真田広之がファーストアダプターのように誇るインタビューを見ているとこれが今の日本人の限界だなと思わざるを得ない。大谷がイチローを尊敬している姿から学んで欲しいものだ。同じことは日本のアマチュアスポーツ界にもあるかもしれない。最近あったパリ五輪金メダリストのレスラーは太田章のことを知らなかった。重量級で初のメダルを取ったレスラーだというのに。

「2024パリ大会 徹底、実践五輪批判」日刊ゲンダイ連載、全18話公開中です。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4728/495

Forbes Japanで開会式について五輪アナリスト春日良一が分析。詩的スポーツ思考。
https://forbesjapan.com/articles/detail/72709

YouTube Channel「春日良一の哲学するスポーツ」は下記から
https://www.youtube.com/@user-jx6qo6zm9f
オリンピックやスポーツを考えるヒントにどうぞ!

『NOTE』でスポーツ思考
https://note.com/olympism

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次号はvol.514です。

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