バッハの独り言 その2 〜東京五輪は政治主導になると見た〜
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今、世界のスポーツポリティクスを動かしている中心人物は紛れもなくトマス・バッハだ。
第9代IOC会長である。
順調に開催されると思っていた東京五輪が史上初の延期となった。
本年初頭、新型コロナウィルス が登場して、世界を騒がせ始めた。
3月に入り欧州でのパンデミックに拍車がかかった。
それでもバッハは最後までみんなで頑張ろう!と伝え続けた。
ワクチンが開発されるのに2年は必要と言われている中、
これからアフリカや南アメリカにCOVID19が伝播するという中、
どうしても常識的に理解できなかった人々が多かったはずだ。
私もテレビでもコラムでも一貫してバッハの方針を支持した。
バッハに成り代わって、その時の心境を告白する。
以下は全てフィクションである。
バッハの独り言 その2
〜東京五輪は政治主導になると見た〜
2013年の9月。ブエノスアイレスで行われたIOC総会で、私は会長となった。
そして、同じ総会で東京五輪2020が決まった。
五輪改革綱領AGENDA2020には多くの人々の意見も取り入れたが、その根本はIOCを普遍的な機関にすることだ。
スポーツにできること、それが世界平和への貢献であることを示すために、今、改革に手を付けなければならない。
東京五輪2020とアジェンダ2020は偶然の一致ではない。
私の心根を示すものだ。
東京五輪を成功させること。
それが五輪改革につながる。
私はそう思っていた。
そこで、ホストNOCには頑張ってもらうしかない。
私はある日、IOC委員Zに電話を入れた。
「竹田JOC会長はどんな男だ?」
「はい、彼はプリンスであり、誠実な男です。え?リーダーシップ?
それについては・・・、また詳細を連絡します。会長」
Zは優秀なIOC委員だ。
私も信頼している。
しかし、彼は竹田が五輪を仕切れると言い切らなかった。
不安が残った。
五輪成功のためにはいかにスポンサーシップを取れるかが重要だ。
JOCはその分野ではそれなりの実績がある。
思い切って竹田をIOCのマーケティング委員長に抜擢しよう。
それで彼の実力を見ることができる。
世界も一目を置くだろう。
日本国内の勢力図にもいい影響があるのではないか。
しかし、憂慮する声もある。サブに適任を付ければいい。
サマランチ会長の息子がいる。
組織委員会の見通しがなかなか立たなかったが、
結果、森喜朗元首相が会長となった。
彼ならうまくまとめるだろう。
が、竹田がオリンピック理念からどれだけ彼をコントロールできるかが問題だ。
しばらく様子を見るしかないだろう。
招致に尽くした都知事の猪瀬は賄賂疑惑で消えてしまった。
舛添が都知事になったが、どれだけ五輪を理解できるだろうか?
早速、経費削減に励み、バスケットボールや自転車などの既存施設にもっていくといってきた。
仕方ないが、コンパクト五輪の哲学を崩すのがアジェンダ2020にどれだけ背いているかについては、なんのエクスキューズもない。
そうこうするうちに不祥事で彼も辞任。
女性の小池都知事が登場した。
都民の多大な支持を得ている。
期待していきたいところだったが、早速行なったのは五輪会場変更だ。
財政面からのアプローチだが、ボート会場を東京から宮城県の長沼まで持っていくと張り切っている。
会場変更は五輪開催準備にとって一大事である。
既に国際競技連盟が承認している会場を移すことがどれだけのことか。
会場を決める権威はどこにあるのか?
スポーツ運営の根本が理解しているとは思えない。
組織委員会も手を焼いているようだ。
私が出ていくしかないだろう。
IOCは長い歴史の中で、常に政治と戦ってきた。
すんなりいった大会など一つもないのだ。
その戦いの中で、政治に五輪を理解させてきたのだ。
小池都知事にも分かってもらわなければならない。
残念なことに今度のメイヤーも五輪への理解が根本的に欠けていた。
そこを指導するのがホストNOCの役割なのだが・・・
(敬称略)
次号に続く
2020年5月22日
明日香 羊
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編集好奇
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今回は「バッハの独り言」連載その2です。
次号ではマラソン札幌移転について、
バッハIOC会長に成り代わって明日香羊がその心根に迫ります。
春日良一
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考?ご期待
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次号はvol.422です。
「バッハの独り言」その3を予定しております
https://ironna.jp/article/13939
「タバコなき東京五輪」をレガシーにするにはココが足りない
スポーツ思考
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日刊ゲンダイで連載!
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/
NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
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哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説
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