バッハの独り言 その3 〜スポーツが政治を利用する〜

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Sport Philosophy
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今、世界のスポーツポリティクスを動かしている中心人物は紛れもなくトマス・バッハだ。
第9代IOC会長である。
順調に開催されると思っていた東京五輪が史上初の延期となった。
本年初頭、新型コロナウィルス が登場して、世界を騒がせ始めた。
3月に入り欧州でのパンデミックに拍車がかかった。
それでもバッハは最後までみんなで頑張ろう!と伝え続けた。
ワクチンが開発されるのに2年は必要と言われている中、
これからアフリカや南アメリカにCOVID19が伝播するという中、
どうしても常識的に理解できなかった人々が多かったはずだ。
私もテレビでもコラムでも一貫してバッハの方針を支持した。
バッハに成り代わって、その時の心境を告白する。
以下は全てフィクションである。

バッハの独り言 その3
〜スポーツが政治を利用する〜

2016年の10月、小池都知事からの五輪会場変更へのアクションで、東京五輪準備は混乱した。
全ては政治がスポーツを支配できると思っている人々のなせるわざだ。
もし、ホストNOCであるJOCが政治に対して、オリンピック理念を主張できれば事態は変わっていただろう。
相手が都であろうが、政府であろうが、根本は五輪の主権者が誰かははっきりしなければならない。
コーツ調整委員会委員長は信頼のおける男だが、今回ばかりは私が出ていってスポーツ外交を見せよう。
都知事は公開対談を要求してきたが、それに怖じける必要はない。
それにしても最近の開催都市でIOC会長を呼びつけた市長は初めてかもしれない。
公開するのは願ったり叶ったり、IOCの立場を都民にも日本国民にもきちんと話すことができる。
最終的には、コーツに任せればうまくまとめるだろう。
肝心なことは、五輪においては政治家ではなくIOCがそしてJOCが即ちスポーツが主導権を取るべきであることを理解してもらうことだ。
会場問題は、元の鞘に治った。

組織委はよくやっている。
準備は完璧に近い。
リオに比べたら雲泥の差がある。
しかし、それにしても東京の夏は暑い。
しかも湿度が高い。
マラソンコースは心配だ。
2018年に入って様々なテスト大会で問題が浮き彫りになってくるだろう。
その多くはどこかで妥協点を見つけることができる。
しかし、マラソンは心配だ。
近代五輪の魂ともいえる。
初回から選手が倒れ、中には死に至るものもいた。
昨今の異常気象で大会本番さらに気温が上がり、湿度が上がった状態で、どうなるだろう。
IOC医事委員会でも研究を続けさせているが、東京から科学的な解決策の決定打が出ない。
しかし、私は彼らの組織運営力を信じている。
それはこれまでの付き合いでよく分かっている。
何らかの手立てを打ってくるはずだ。
ところがどうだ。
都知事から出てきたのは「打ち水」?!
客観的に納得できる解決策を待っていた。
日本ならできると思っていた。

2019年9月下旬から10月上旬ドーハでは世界陸連が行われた。
ここで行われるマラソンが東京のトライアルになる。
もちろん運営面でのことだが。
深夜にスタートした女子マラソンはほぼ半分がリタイア。
バタバタと選手が倒れる映像が世界をかけ巡った。
国際陸連のコー会長が東京でのマラソンを変更したいと言ってきた。
ちょっと待ってくれ、今東京が頑張っているんだ。
しかし、コーは譲らなかった。
「陸上に責任を持つのは陸連だ。五輪のマラソンで今日と同じことが起きたら、誰が責任をとるんだ」
私は日本に納得できるデータを求めた。
しかし、データはドーハとほぼ同じ気温と湿度であり、不快指数であった。
「選手のために私は悪者になろう」と決めた。
現地では各国国内オリンピック委員会の総連合総会も開かれている。
会場を変更するとしたら、今しかなかった。
森会長に電話を入れた。
しかし、都知事は一筋縄ではいかなかった。
が五輪に関わる全ての決定権はIOCにあることを今回改めて分かってもらうしかなかった。
マラソンは五輪会場中の最北端、札幌に移ることになった。
これまで準備してきた人々の思いを知ると心痛かったが、五輪の成功のためには仕方ない・・・

(敬称略)

次号に続く

2020年5月23日

明日香 羊

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編集好奇
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今回は「バッハの独り言」連載その3です。
次号が最終回です。
史上初の五輪の延期について、バッハIOC会長に成り代わって
明日香羊がその心根に迫ります。

春日良一

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考?ご期待
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次号はvol.423です。
「バッハの独り言」その4(最終回)を予定しております

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「タバコなき東京五輪」をレガシーにするにはココが足りない

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「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
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「純粋五輪批判」
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哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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