オリンピックはまだ平和運動になれるか? 〜新型コロナウィルスとはうまくやるしかない〜

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オリンピックはまだ平和運動になれるか?
〜新型コロナウィルスとはうまくやるしかない〜

「人類が新型コロナウィルスを克服した証として東京オリンピックを開く」とオリンピック延期を願い出た安倍晋三が首相を辞任する。
コロナ克服前にギブアップしてしまった。
思えば、相手を征服して平和な状況を作るというのは、そもそもオリンピズムの発想ではない。
逆である。
相手の存在を認めて相互に成立し得る場を作るのがスポーツ外交だ。
それがコロナとのあり方にも応用できるのではないか?と思い始めている。
完璧にコロナを終息させるという発想自体がもはや狂気に思えるからだ。

オリンピックが平和の祭典と言うのは単なる夢語りではなく、それなりの論理がある。
頂点を目指す選手たちの潔い闘いが万人に人間の尊厳への普遍的感動を与えるだけでなく、各国をリードする為政者たちの心も奪うことができる。
政治的に繋がることが困難な国と地域の政治指導者が五輪の期間に政治を超えて協力することもあれば、五輪開催のために自国の政治的制約を解放することもある。
冷戦中の東西ドイツ統一チームや平昌五輪での統一コリアの出現も国交のない国や地域の選手役員の出入国認可もそうである。

五輪が肥大化したことが時折批判の対象になるが、それは世界平和実現のために必要なサイズであることも事実である。
小運動会に世界の政治指導者が関心を持つことは難しい。
国際オリンピック委員会(IOC)会長が各国首脳と対等に渡り合える状況は、五輪の理念と実践が世界規模で行われてきたことが基盤だ。

バッハとプーチン 2020-09-03 11

プーチン大統領にとってバッハ会長はスポーツ王国の大統領である。
故にソチ五輪期間中はウクライナに侵攻しなかった。
2017年習近平主席は欧州歴訪にIOC表敬を入れた。
2018年新年の辞で金委員長が平昌五輪参加を宣言したのは、前年から築かれたIOC会長への信頼の表明でもあった。

五輪が批判を受けてきた諸々の事ども、例えば、プロ化、商業主義化、巨大化などの問題は、全てオリンピックが世界平和構築というスポーツポリティックスを発揮するための準備と見てきた。

コロナでスポーツ大会を大規模にできない状況の中、果してオリンピックが平和構築のツールであり続けることは可能だろうか?
もしコロナが終息しないで、三密を保つ状況がこれからずっと続いたとしたら、オリンピックは存続する価値があるだろうか?
観客のいない競技が人々の感動を醸成することはないだろう。
ましてや政治的指導者が「五輪」をパンとサーカスのサーカスにしようという気も起きないだろう。

クーベルタン男爵がスポーツによる世界平和を訴えたのは、身体活動を通して相互理解を深めることが武器による争いを回避する最も効果的な運動だと思ったからだ。
スポーツが自由にできる環境が戻らない限り、オリンピックの平和機能は全開しないように思える。

だとすれば、もはやコロナとの共存の中で、文字通りのオリンピック競技大会を開催すること以外にないのではないか?
オリンピック本来のあり方の中にそのヒントがあるのではないか?
「実践五輪批判49」でも述べたが古代五輪の選手村に入るための「修祓」と1ヶ月前からの入村。
五輪にアクセスする観客の「お清め」、組織を運営管理する人々の「禊」。
そしてそれを補填する医療体制の拡充。
その上で十全と五輪を開催できたら、その時こそ「コロナがあっても世界平和の道を示すことができる」証として、オリンピックが存在したことになる。

そのためには相当の努力が必要だ。
その覚悟がない限り、オリンピックの存在意義は持続可能でなくなるだろう。

(敬称略)

2020年9月3日

明日香 羊

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編集好奇
▲▽▲▽▲
IOCにとって安倍総理は「理想の首相」だったと私は思う。
その訳は、本日発売のゲンダイ「実践五輪批判」をご覧ください。
外国人の友人たちもなぜか「シンゾーアベはいいよ」と人気がある。
不思議である。

春日良一

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考?ご期待
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「純粋五輪批判」
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哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
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コメント

  • 今、ゲンダイ読みました

    ・バッハ会長の誕生について、「唯一、欧州大陸ではない東京が選ばれることが
    隠れた条件だった」の“隠れた”の部分がもう一つ見えないので、いつか説明して
    ください。私的な人間関係が公的な人間関係にもなっていく部分が素人には
    わからないので。

    ・安倍首相が「延期してもぜひ」とIOCに言ったのは功績ですが、彼個人だけではなく
    日本人の心情でもあると思います。
    しかし、そのためにも、コロナ禍対策を「五輪開催」に向けて加速する
    (普遍的な世界医療基準をいち早く樹立する)という面では、ほぼ無策で牽引力が
    なかったように思います。五輪とウイルスは別々に考えられていて、ウイルスと経済
    の均衡だけが意識を支配していた。
    オリンピズムというよりは、政治の感覚で動いていたのだと感じます。

    誘致が決まるまでの努力は多としながらも、それから後をどうするか(例えコロナ禍
    があっても)で、はじめてオリンピズムの純度が決まるのだと思います。

    安倍首相個人が辞任しても揺らがないような、日本人のオリンピズム理解と対応が
    求められますね。


  • Re: 今、ゲンダイ読みました

    コメント拝受いたしました。
五大陸論につきましては、来週のスポーツ思考もしくはゲンダイで思考します。
安倍総理を「理想の首相」としたのはアイロニーだったのですが、レトリックが追いつかなかったようです。
キルケゴールのようにそろそろオフェンシブにならないといけませんね。
ご意見ありがたく頂戴いたします。



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