日本国憲法のオリンピズム 〜平和構築プログラムの具現化〜

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日本国憲法のオリンピズム
〜平和構築プログラムの具現化〜

日本国憲法改正について右往左往の意見が徘徊しているが、何年かかっても憲法第九条は改正されることなく今日に至る。ウクライナへのロシア侵攻により、もし日本が他国に侵攻されたらどうなるか?憲法改正が必要であるとの論も強く響くところだが、実際、そのようなことが起こったとしたら、事実上の軍隊である自衛隊が防衛対応に動くことは明らかである。

抑止力としての軍事力も外交的な努力がなければ絵に描いた餅であるが、軍事力なき外交に不安を抱くのも良識と言える。九条を守る、改正するという議論を弄んでいるよりも今、日本を軍事力から守ろうとするならば、外交能力を研鑽することが重要である。武器を持たずに相手を打ち負かすだけの能力が目標値になるならば、憲法第九条が夢物語ではなくなる。しかし、現実、日本の外交を振り返れば心許ない限りだ。高等難民弁務官だった緒方貞子、国連事務総長特別代表を務めた明石康の外交力は誇らしいが、彼らが日本の政治力になることはなかった。

憲法とはもともと国家権力を縛るために権力者と国民が締結する契約である。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない」

だからと言って国の自衛権を否定しているわけではない。憲法九条を持つ日本だから勝手に攻めても文句は言わない、だから攻められるという論理は通らない。

国際紛争を解決する手段として、永久に武力の行使を放棄しつつ、国民の安全を守るというならば、その思想を堂々と世界に主張して、この理念を基に外国交際を実践する以外にない。となれば、今回のウクライナへのロシア侵攻も憲法九条の精神をもって、双方に外交努力を求めることが日本の使命となる。そして日本国憲法の下、77年間戦争行為を起こしていない日本国として堂々の主張ができるはずだ。

九条を弱点と思う自民党はそのような外交を展開できないし、九条を擁護する共産党もそのような行動を起こさない。戦勝国、米国が、敗戦国、日本に押しつけた憲法という批判も実際その憲法が人類の理想を謳っているのであれば、永遠の真理として訴え続けるべきものであろう。

世界唯一の被爆国であり、戦争を放棄する憲法を有する国である誇りを持てれば、その国を守る自衛隊に敬意も抱けるだろう。自分と同様に他人を愛すれば戦は起こらないという墨子の兼愛思想の実践論が、憲法第九条で具現化することになる。

その類希な思想を賢察し、かつ人類の未来を慮れば、その平和志向こそ求めるべきと思えるが、その方向を目指すことなく、自分自身そしてそこから演繹される国家を守ることに精を出す政治家しかいない状況を憂う。

武器を置いて、オリンピアに集まれという古代ギリシアの休戦思想を近代オリンピックとして取り戻したその心こそ憲法九条の精神に繋がるものとすれば、綺麗事と言われる非武装中立論も実践論としての形式論理学を備えることができる。

例えば、今回のロシアのウクライナ侵攻に国際オリンピック委員会(IOC)が出した声明は、そのオリンピック休戦破りへの非難であったし、そこから具体的に各国際競技連盟(IF)へロシア、ベラルーシでの国際競技会の中止を勧告し、さらにはロシア、ベラルーシの選手たちの国際競技会への参加拒否にまでその勧告を制裁化した。これは単なる勧告と見做されがちだが、アスリートファーストを信条としてきたバッハIOC会長にとっても英断であり、このことにより、選手が必然的に政治的意思表明をしなければ、オリンピアンになれないという現実を突きつけたことになる。敷衍すれば、そこから戦争を起こした国の選手はオリンピックの参加資格を失うことになり、結果、オリンピックに出るために戦争を起こさない国を選ぶということになる。スポーツ王国の実現による世界平和構築が見えてくる。

さらに自衛隊をスポーツ王国の防衛軍として措定すれば、国連平和維持軍のように活用することができる。その名誉は世界平和維持の使命を果たす名誉であり、憲法改正論者から心配されている隊員の士気を高揚させて余りあるほどのものだ。

Sarajevo

以上、憲法記念日を思い、みどりの日に日本国憲法をスポーツ思考した次第である。
みどりうるわしき世を希う。

(敬称略)

2022年5月4日

明日香 羊

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編集好奇
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今の日本には憲法もなければ、デモクラシーもない。(小室直樹)
民主主義を目指しての日々の努力の中に、はじめて民主主義は見出される。(丸山眞男)
戦わざるもの、食うべからず。反省

春日良一

【ダイヤモンドオンライン】
北京五輪の「オリンピック休戦」をむげにしたロシア、
IOCバッハ会長の葛藤
https://diamond.jp/articles/-/298005

【ゲンダイデジタル】
IOCへの諫言 五輪憲章から矛盾を糺す
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4322/495

日本と世界の重要論点2022↓
【Daiamond Online】
東京2020が日本人の記憶に残らない理由、北京に引き継がれた不信感と意義
https://diamond.jp/articles/-/291658

【Forbes Japan】
「命と引き換えにするほどの価値があるのか議論すべき時」
https://forbesjapan.com/articles/detail/39575
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次号はvol.460です。

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「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
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コメント

  • 対話と文化とスポーツ、 その世界的共有です。

    賛成。論旨明快です。
    悪いことをしているヤツらに惑わされて、
    こちらもそれ相当の悪いことをする必要はありません。
    必要なのは武器や攻め方の手順ではなく、対話と文化とスポーツ、
    その世界的共有です。
    人類的常識で、ほとんどのことが判断できます。
    条文の問題ではありません。



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