年頭の辞 〜天下布ス〜

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年頭の辞
〜天下布ス〜

室町幕府崩壊の音を聞きながら戦国乱世に登場した織田信長の志は世界平和の構築であったと見る。改元された天正とは天が(この世)正すことであり、スローガンの「天下布武」は天下に武道の行動規範を定着させることであった。信長の武道とはこの世に正義を挙行し民を幸せにすることだ。その地の中心は安土城であり、この地球を安住の地にすることにあった。故に彼の志はクリスト教宣教師と天正遣欧少年使節によってバチカンの教皇まで伝わる。安土城の金屏風は有名だがそれだけでなく信長の書簡の多くはバチカンに眠っているはずだ。

信長の天才は世界を見ていたことであり、地球儀を初めて見た時に即座に「世界」を受け入れる器量は時代を思えば突出している。天から見てこの世を良くすると考えた人間と、自分のためにこの世を制すると考えた人間の違いを私は過小評価しない。前者を感じるのは信長のみで、秀吉は自らのため、家康は徳川家のためであった。「お家のため」という時代劇の常套句は徳川江戸時代を表象するに十分だ。唯一信長と同じく天を見つめていたのは光秀であり、その彼が信長殺しの犯人とされる歴史物語に知性は「おかしい」と言い続けながら、その理由を探し続け、不可解な理由をこじつけているが、そもそも知性に従えば、光秀が信長殺しをする理由がないところから、伝えられてきた物語を疑い真実を見つけることを第一にすれば、長年の謎も解けるというものだ。

安土城

日本人の宗教音痴はスポーツ音痴と同様に相当レベルなので、クリスト教から信長を見ることやバチカンから世界を見ることができない。それができないと世界を理解することなど無理である。私が、東京五輪開催論で多くの人々の常識と戦ってきた時も、最後の武器である「宗教論」は持ち出すことができなかった。それをすれば、私自身の開催論がさらに理解不能の境地とされたであろう。

幸か不幸か戦国時代に生を得なかった私は、幸か不幸か現代に生をいただいた。私には城もなければ家来もいない。しかし現代にはスポーツという「武器」があった。この「武器」は「敵」を無闇に傷つけることなく、自らを鍛え、自らを楽しみ、時には「敵」をも幸福にすることができる。この「武器」を使って得た友情は永遠に思えるほど確固たるものだ。中でもサッカーは世界の人々を巻き込む絶対数において天下一である。カタールのワールドカップを見ながら、つくづく思った。このスポーツを使えば、プーチンやゼレンスキーが頼りにする巨額を要する武器よりも大きな効果があるはずだと。

岸田首相も西に倣えとプーチンに敵対し、習近平に距離を置いているが、それはこの世界の分断分裂、西洋思考の東西対立、南北対立の論理に身を置いているだけであり、全く世界を換えるに至るわけもない。日本しかできないことを考えなければ天下「1」にはなれないぞ!ヒロシマとナガサキの直接体験があり、憲法9条のもとに武器による紛争解決をしないと誓った国。以降、77年戦争をしてこなかった国。西にも東にも寄り添うことができる島国、日本。まさに日の本。そこを誇らないでは勿体無い。

世界に蔓延するコロナウィルスの中で、人類の夢と希望を紡ぐべき東京オリンピック・パラリンピック開催を実現した心根に「スポーツ」への信仰があったとすれば、オリンピックによって世界に平和をもたらそうという信念があったとすれば、そこに世界の政治的指導者を政治を超えて参集させ、調和と他者肯定の「場」を提供することができたであろう。
バッハIOC会長のヒロシマ表敬にその思いを同調させることができればそれは大きなパワーになったであろう。

しかし、日本は逆に道を歩み、日本のリーダーは五輪精神を有耶無耶にした。

北京五輪が東京五輪に続きコロナ禍で行われたが、東京五輪の誇りを持ってその世界平和構築への期待を北京五輪に寄せる思いがあれば、岸田首相は北京五輪に参加したであろうし、それによって日中問題は未来を見ることもできたであろうし、それによって彼の意見はプーチンにも届けることができたであろうし、バイデンにも「一緒に!」と呼びかける心意気があれば、米国も日本を見直したであろう。世界は日本の力を知ったであろう。ワールドカップでドイツとスペインを撃破したように。

スポーツを「武器」に使うことである。

年頭に「天下布ス」を掲げる所以である。

(敬称略)

2023年1月25日

明日香 羊

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編集好奇
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東京五輪を世界平和の「武器」として使えば、防衛費増額も回避できたのではないでしょうか?そうすれば開催経費もリーズナブルに思えるだろうか?

新年のご挨拶はこちらに掲載しました。

https://note.com/olympism/n/n729982a0db89

『NOTE』でスポーツ思考
https://note.com/olympism

【ダイヤモンドオンライン】
NEW!!
東京五輪汚職で「商業主義化=悪」の世論に異議あり、元JOC職員が見た真因とは
https://diamond.jp/articles/-/311042

北京五輪の「オリンピック休戦」をむげにしたロシア、
IOCバッハ会長の葛藤
https://diamond.jp/articles/-/298005

【ゲンダイデジタル】
【特別寄稿】IOCバッハ会長は8年前、高橋治之元理事の“追放”を組織委に求めていた
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/310969

特別寄稿!
「逮捕された高橋治之元理事には9億円 あぶり出される東京五輪招致の闇」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/309953

短期連載(全3回)
「東京五輪にメス!スポーツマフィアを生んだJOCの過ち」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4389/495

短期集中連載(全5回)
「IOCへの諫言 五輪憲章から矛盾を糺す」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4322/495

日本と世界の重要論点2022↓
【Daiamond Online】
東京2020が日本人の記憶に残らない理由、北京に引き継がれた不信感と意義
https://diamond.jp/articles/-/291658

【Forbes Japan】
「命と引き換えにするほどの価値があるのか議論すべき時」
https://forbesjapan.com/articles/detail/39575
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考?ご期待
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次号はvol.474です。

スポーツ思考
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日刊ゲンダイ連載全100回
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/

NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
https://genkina-atelier.com/gorin/

哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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