竹田JOC会長の無念 ~政治にスポーツが支配される危機~

━━━━━━ Weekly Column Sport Philosophy ━━━━━━━
週 刊 ス ポ ー ツ 思 考 vol.398
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Genki-na-Atelier━
http://genkina-atelier.com/sp/
━━━━━━━━━━━
Sport Philosophy
───────────--------------------------__(、。)┓
━━━━━━━━━━━
○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●○○○○○●●●●●
────────────────────────── ☆☆☆
竹田JOC会長の無念
~政治にスポーツが支配される危機~

仄聞するに石原慎太郎前都知事が東京五輪を招致しようとしたのは、
1964年の東京五輪でアメリカの国歌ばかりを聞かされたリベンジを果た
そうとの思いからであり、2020年の五輪に期待するのは「国威発揚」だ
そうである。

オリンピズムから見れば驚くべき発言だが、かような心根の御仁が招致
に失敗するのは当然のことであったとも思う。

オリンピズムはナショナリズムを超えて人と人をスポーツで結ぶ!という
のが単純だが純粋な五輪理性である。それを真っ向から否定してまで
五輪を自国に招きたいというのだから、驚く他はない。しかもそれを開陳
するのだから五輪の無理解ここに極まれり。である。

オリンピズムを青二才の理想主義、空言、あるいは奇麗事と片付ける知者
は多く、ずうっと存在するが、しかし、逆にもしスポーツで平和という戦略を
放棄してしまえば、世界平和への夢は消えるだろう。私がバッハ国際オリ
ンピック委員会(IOC)会長を評価するのは、オリンピズムの仕掛けを理解
しているからだ。

「政治的に」批判の多い平昌五輪での南北コリア統一チーム実現や統一
コリア選手団の開会式入場行進などは、政治の流れに逆らわないように
見せつつスポーツでしか実現できない「夢」を現象させた無手勝流であり
非武装の世界平和構築へのひとつのトライアルであると見る。

さて、2020年五輪招致活動の中心的人物であり、そのために世界を飛び
回った竹田日本オリンピック委員会(JOC)会長が、昨日2019年3月19日
JOC理事会において今年6月(役員改選時)での退任を表明した。IOCも
辞めるということだ。想起するのは竹田と同様に招致のために長年のIOC
環境委員の実績と人脈を生かして世界を駆け巡った水野正人(元ミズノ
会長)も招致成功後の組織委員会幹部からは除外されたことだ。

この二つの人事、全く違うことのように見えるが、どこかで繋がっているよう
にしか見えないのが私のスポーツ思考である。

冒頭の石原前都知事が大嫌いだった二人が、東京五輪から消えたので
ある。招致活動のロビーイングの現場で、開催立候補都市の市長が各国
NOC要人やオリンピックファミリーに愛想を振りまくのは自然なことだ。その
現場で憮然としている石原にハグを薦めた水野のような外交を石原は嫌っ
た。その気持ちも理解できないわけではないが、しかし、この好き嫌いが
スポーツ界の人事に及ぶこと、実は多い。

田原総一朗が示した森喜朗との対談書で、その石原の心情を森に語る
場面があったと記憶している。

単純に言えば招致活動は外交優先で国際派が主流、成功後は内政重視
の構造となる。長野五輪招致の顔とされたミスターナガノが消えたのも同じ
論理だ。

JOCの論理では、竹田JOC会長の花道は彼の五輪活動の結晶である
2020年東京五輪後であった。しかしそこに待ったをかけたのが、フランス司
法当局の2020年五輪招致不正(贈収賄)疑惑で、招致委員会理事長だっ
た竹田JOC会長がコンサルティング会社のブラックタイディング社と結んだ
契約金がラミン・ディアク(当時IOC委員)に渡った可能性がありフランス当
局が予審手続き中ということにある。

一歩日本国外を出れば、フランス司法の手が及ぶ状態で、竹田はこれまで
彼の中心的活動であった国際会議への出席を自重せざるを得ない状態に
ある。実際、1月のIOCマーケティング委員会や3月のアジアオリンピック評
議会(OCA)総会も欠席している。この状態をフランス当局の出方を見ながら
続けていくことは、オリンピックビジネスにとって支障が大きすぎる。

そこへスポーツ庁の「定年制導入の重要性」の発信があり、竹田包囲網が
敷かれた。

報道では「IOCからの圧力」という言い方をしているが、それは竹田がIOC
会長に逐次情報を入れ、相談しながら事を進めた状態のことで、その中で
今回の決心を固めていったその状況を結果から敷衍したものと思う。むしろ
この状態は内政的な圧力に見える。ヒントは組織委員会とIOCのパイプだ。

見つめるべきは2020年東京五輪後のスポーツ界勢力図である。もし、竹田
JOC会長続投で迎えた東京五輪が成功すれば、その功績はすべて竹田会
長に集約される。もちろん組織委員会の功績は評価されるものの、時限的
な組織に引き継ぐことはできない。恒久機関であるJOCにその全てが引き継
がれる。

であればその功績を引き継ぐJOC会長のポジションを今から抑えておくのが
重要だ。1964年の東京五輪がそうであったように、当時組織委員会で活躍
した若手がその後の日本体育協会の要職となり、以降日本のスポーツ界を
引導していく。

同様の構造を2020年以降に作るとしたら、「今」が肝心なのである。スポーツ
庁がガバナンスコードを作り、JOCや日本スポーツ協会を傘下に納め、大学
スポーツ協会を推進して学生スポーツをビジネス化しようとしている。本来、
スポーツの「自律」を訴えて政治と闘っていかなければならないのがJOCの
使命である。その象徴的な存在であった竹田JOC会長の退任は、新しい世代
への道を開いたというよりも、スポーツの自律という最も重要な肝心要を放棄し
たように見える。

四面楚歌の響きあり。

せめてJOCが竹田JOC会長退任とともに消えゆく灯とならないように、受継ぐ
べき「新しい世代」が、嘉納治五郎初代JOC会長の魂を理解してほしいものだ。
「精力善用 自他共栄」がオリンピズムに繋がっているということを。

(敬称略)

2019年3月20日

明日香 羊
-------

                            ────────<・・

△▼△▼△
編集好奇
▲▽▲▽▲

メディアは無責任である。竹田退任が決まったと同時に竹田批判。「もっと早く
止めるべきだった」それならばもっと早く竹田IOC委員任期延長時点で批判す
べきではなかったのか?JOCという基盤を失う人間となってからやっと石を投げ
る根性。

今回の件、数件のインタビューを受けましたが、放送はごくわずかでした。実は
このスポーツ思考でも突っ込んでいないところの真相を語ったからではないか?
と思っています。

それにしても産経新聞の「自立とは名ばかり」批判は笑える。スポーツが求めて
いるのは「自律」であって、「自立」ではない。他人(ひと)の知恵と言葉を使うな
らきちんと理解してからにしてほしい。

春日良一

━━━━━━━
考?ご期待
━━━━━━━

次号はvol.399です。
(1998年からの400号にあと2思考?!)
スポーツ思考
https://genkina-atelier.com/sp/

NHK大河「韋駄天」が扱う五輪運動について
カントの純粋理性批判ならず「純粋五輪批判」
もご覧ください。
https://genkina-atelier.com/gorin/

_________
CMリンク
=====~~~~~★
★☆★************************************************************★☆★
紫外線対策グッズ専門店【ホワイトビューティー】
8万枚突破のフェイスカバーをはじめ
高品質のUVカット用品多数!
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=2HO1G1+8C6C2+39B2+66OZ7
★☆★************************************************************★☆★

┃------------------------------------------------------------
┃ 購読登録は
http://genkina-atelier.com/philosophia/aboutme.htm から。
┃△△▲-------------------------------------------------------
┏━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ copyright(C)1998-2014,Genki na Atelier
┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┃ ★本誌記事の無断転載転用等はできません。★


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

コメント


認証コード5648

コメントは管理者の承認後に表示されます。