仁義なき東京五輪 〜2032年五輪と義理と人情〜

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仁義なき東京五輪
〜2032年五輪と義理と人情〜

もしコロナがなければ、今頃、各局テレビは大騒ぎだっただろう。
「金だ!銀だ!どうだ!」って、ついさっきまで五輪批判を繰り広げていた御仁たちまで、俄五輪狂になっていただろう。
その意味では冷静に五輪を考える好機であるかもしれない。

「かような状態で来年五輪は大丈夫?」と言う問いかけには、
「無理でしょ!」と言う声なき声が響いている。

政府関係筋の情報では、来年を諦めてパリ→ロスの後、
2032年に東京で開催する方向にIOCと交渉したらどうか?
と言う話が「まことしやかにささやかれている」と言う。

2020年の代わりに2032年と言う話だ。
しかし、現在、2032年の五輪には国名で言えば、
インドネシア、インド、オーストラリア、ドイツが立候補を志していた。
そしてつい最近カタールまで加わった。

アジェンダ2020以降、招致合戦の緩和が求められ、
今は話し合いの姿勢が求められているので、
コロナでできなかった「かわいそうな」東京に2032年を譲ってください。
と言う人情はあり得そうな気もするだろう。

しかし、ここは人情よりも義理を優先させなければならない。
なぜか?
(今週火曜日発売の光文社フラッシュに既に小生のコメントが載っている)
https://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=101002

日本が第二次世界大戦後、国際スポーツ界に復帰できたのは誰のおかげだったのか?
1948年のロンドン五輪に招かれることがなかった日本は、1951年第一回アジア競技大会がニューデリーで開催された時、参加を許された。

大戦が分断してしまったアジアの国々と人々を、スポーツによって交流を深めるアジア競技大会の構想が浮かび上がった。

1947年、インドのネール首相が呼びかけて開かれたアジア諸国外交会議に
出席していたソンディIOC委員(インド)が、アジアの団結のために
スポーツの力を必要とすると力説し、ネール首相が協力を約束する。

アジアに新しい友情を築こうと!
しかし最初日本はその輪に入ることができなかった。
戦犯国としての日本への慎重論が趨勢を占めた。
しかし、スポーツ界は戦前の日本のアジアへの貢献を忘れてはいなかった。

フィリピンなどの強い反対がある中、インドは日本に招待状を送ってくれた。

日本のスポーツ界は一致団結して、アジア大会に80人の選手団を派遣する。
日本人もスポーツへの復帰が自分たちの希望と勇気になることを疑わなかった。
募金には小学生の寄付もあったと言う。

日本選手団はフェアプレーをモットーとして善戦した。
どんな不条理な判定にも一言も文句を言わなかったと言う。
そのような戦いでも勝利を収め、金メダル25を獲得している。
正々堂々と戦う日本チームは地元の人々からも認められ、
それがやがて日本への理解に繋がっていった。

ここから日本は世界のスポーツ界へ復帰していくのである。
日本オリンピック委員会(JOC)にはこの時「インドの恩義を忘れるなかれ!」
と言う不文律が刻まれた。

JOC職員だった私は1982年インドにとって2回目のアジア競技大会に
日本選手団本部として参加するが、その時、団長はネール元首相の墓に献花している。
入国した翌日に感謝と敬意を表した。

ネール首相

1982年の第9回アジア競技大会は見事な成功を収めた。
ニューデリーにはオリンピックが呼べるだけの力を見せた。
そして、関係者はこの時近い将来オリンピックをインドで開くことを真剣に思っていた。
当時のJOC幹部、先輩諸氏は「もしインドが立候補するならば、日本は全力で応援する」
と心に決めていた。

1964年東京五輪で大成功を収めていた日本が、
インドの五輪開催に尽くすのは当然の義務であると思っていた。

2032年に東京五輪を!とは言語道断である。
1982年以降、すぐにでも五輪を招致したかったが、できなかったインドが、今やっと立候補できる力を付けてきた。
今年2月にインドのモディ首相がバッハIOC会長に直接2032年五輪招致への意欲を伝えた時点で、2032年東京はあり得ない。

積み重ねられた友好の歴史を紡ぎ続けなければならない。

東京五輪を仁義なき戦いにしてはならない。

(敬称略)

2020年7月29日

明日香 羊

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編集好奇
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IOCのスキャンダルを綴った「黒い輪」が出版されたのは、
今からもう30年前にもなるのか?!と驚く。
そこでスポーツマフィアという言葉が初めて活字になった
と言ってもいいだろう。
もはやマフィアはいなくなった。
ディアクが最期になるはずだ。
しかしスポーツポリティックスにある義理と人情は捨て置けない。
政治家にはそれが見えないから仁義なき戦いになってしまう。
私の武器はオリンピズムだけだった。

春日良一

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考?ご期待
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「タバコなき東京五輪」をレガシーにするにはココが足りない

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「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
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NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
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哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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