バッハの独り言 その4 〜オリンピズムが危機を迎えている〜

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今、世界のスポーツポリティクスを動かしている中心人物は紛れもなくトマス・バッハだ。
第9代IOC会長である。
順調に開催されると思っていた東京五輪が史上初の延期となった。
本年初頭、新型コロナウィルス が登場して、世界を騒がせ始めた。
3月に入り欧州でのパンデミックに拍車がかかった。
それでもバッハは最後までみんなで頑張ろう!と伝え続けた。
ワクチンが開発されるのに2年は必要と言われている中、
これからアフリカや南アメリカにCOVID19が伝播するという中、
どうしても常識的に理解できなかった人々が多かったはずだ。
私もテレビでもコラムでも一貫してバッハの方針を支持した。
バッハに成り代わって、その時の心境を告白する。
以下は全てフィクションである。

バッハの独り言 その4
〜オリンピズムが危機を迎えている〜

2020年が明けた!
オリンピックイヤーである。
東京オリンピック2020とアジェンダ2020の統合的成就を祈る気持ちだ。
ここに来るまで難局を乗り越えてきた。
良い年になるはずだ。
しかし中国の武漢で新型のウィルスが発生し、大騒ぎになった。
東京は大丈夫と思っていたが、日本に就航したクルーズ船から感染者が出た。

しかし私は心配するよりも日本を信頼した。
組織委はロンドンから五輪の公衆衛生対策をきちんと学んで引き継いでいると聞いていた。
と思っているうちにイタリアからも感染者が出た。
このウィルスは性格上、広まるまで広まって免疫が達成されなければ収束しないと言われている。
パンデミックの可能性もあるが、どうすべきか?
医事委員長にWHOと連絡を取らせて、情報収集に努めている。
WHOに公衆衛生の基軸を置かざるを得ない。
その上で五輪独自の方策を組織委が準備してくれるはずだ。
しかしなかなか日本側から主催国としての責任ある提言が聞こえてこないのは辛いところだ。
私は一貫して「予定通り東京五輪を開催する」ことを伝えた。
それはひとつの信仰である。
オリンピズム への信心である。
オリンポスは私を見捨てないはずである。
オリンピックはやるかやらないかしかない。
イタリアだけでなく欧州も全土に蔓延し始めた。
IOC本部のローザンヌも気がきではない状態だ。
延期ということを軽々しく問う人々が多いが、オリンピックは祭りすなわち神事なのだ。
諦めるしかない状況になるまで、頑張り抜く、それが私のあり方だ。
心配なのは選手たちだ。
彼らには特別にメッセージを伝えたい。
二百名以上の選手と話し、私のスタンスを理解してもらった。
難局を共に戦おう!
予期せぬことにそれ以外の選手からクレームが届き出した。
その声も無視は出来ない。
しかし、私はオリンピズムを信じて私と共に7月24日まで戦ってくれると思っていたのだ。
日本が完璧な対策を施してくれるとも思っていた。
そこまで一緒に頑張って無理であれば、潔く諦めよう。
それはかつて戦争のために中止となった五輪のように、永久にその戦いの結果を残すだろう。
COVID+19に勝てなかったということを。
しかし共に戦ったという記憶は残る。
それはその後のオリンピックを動かす原動力になる。
私が東京2020を2020年7月24日に開催するのを諦めなかった理由である。
オリンピックにはやるか中止しかない。
それがオリンピックの哲学である。
聖火の点火式が迫っていた。
オリンピックの火を頂いたらもう後には引き返せない。
ギリシアからは5月まで延期してほしいと言ってきていた。
しかし、聖火リレーの日本国内スケジュール上それは無理だった。
私は5月に広島に行くことを楽しみにしていた。
聖火リレーには五輪の精神の端的な表象がある。
私はギリシアを説得した。
しかし、森は「中止は回避したい」と言ってきたのだ。
3月も終わりに近づいていた。
私は4月上旬までに実現していない五輪予選対策を打ち出すつもりであった。
「五輪には延期がない。延期を望むならば、開催国の代表からの請願を求める」と返した。
森は安倍総理に話をつけ、四者の電話会談を決めた。
安倍総理、小池都知事、橋本五輪相、森組織委会長。
IOC委員になったばかりの山下JOC会長は外れてもらった。
これはあくまでも政治がスポーツにお願いする場だからだ。
あくまでも東京五輪2020の日程を変えるという論理で臨んだ会談だった、
実際、中止にすれば簡単だった。
オリンピズムは延命されただろう。
コロナが治った段階で、パリの五輪が2024年に開催されるとなれば、これまでのやり方を変える必要がない。
私は覚悟を決めたのだ。
東京と共にこの前代未聞の敵と戦うことを。
それはこれまでのオリンピックを変えなければならいことになるだろう。
変貌するオリンピックが果たしてオリンピズムを伝えることができるのだろうか?
オリンピズムなきオリンピックは果たして存在する意義があるのか?
そのことを世界に問うつもりだ。
今年中に「COVID19とオリンピズム」についてひとつの結論を出すつもりだ。

(敬称略)

2020年5月26日

明日香 羊

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編集好奇
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今回で「バッハの独り言」連載一先ず終了します。
次回から春日良一の声を代弁します(笑)
引き続きよろしくお願いいたします。

春日良一

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考?ご期待
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次号はvol.424です。
延期のメリットについて考えたいと思います。
今週木曜日発売のゲンダイでは「無観客五輪」について論じています。

https://ironna.jp/article/13939
「タバコなき東京五輪」をレガシーにするにはココが足りない

スポーツ思考
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日刊ゲンダイで連載!
「実践五輪批判〜20年東京五輪これでいいのか?〜」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/3625/

NHK大河「いだてん」を思考すると題して始めたブログ
「純粋五輪批判」
https://genkina-atelier.com/gorin/

哲学者カントの純粋理性批判と実践理性批判から拝借
「実践」では実際に五輪がオリンピズムを実現しているのかを批判
「純粋」では大河を触媒にオリンピズムの本当を解説

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